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カテゴリー「児童ポルノ」の記事

2014年9月24日 (水)

子どもの性被害と児童ポルノ問題

神戸市で行方不明だった小学1年の女児の遺体が見つかった事件は、
本日、発見現場近くに住む47歳の男が逮捕される急展開となった。

犯行動機はまだ明らかになっていないが、
被害者の腰部分が見つかっていないこともあり、
性的な目的による犯行の可能性も否定できない。

警察白書(平成25年版)によれば、
13歳未満の子どもを狙う強姦や強制わいせつの認知件数は
近年増加傾向にある。

また、神戸事件における関連性は現時点で不明だが、
子どもへの性犯罪では、加害者が性的メディアに影響を受けたと
供述するケースも多い。

今回は御参考までに、
子どもへの性犯罪と児童ポルノの問題に関して私が寄稿した
論考を掲載しよう:

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『秋葉原をめぐって』

 性被害問題に取り組む有志による秋葉原視察ツアーに参加した。幼児や小中学生の着エロDVDを売る店や、ビルのほぼ全フロアをアダルト系作品で埋め尽くす店などが目に飛び込んでくる。

なかでも印象的だったのは、漫画販売の某チェーン店である。地下一階に設けられた成人向け漫画誌コーナーに、成人男性が小学生女児と性交する内容の作品が多数陳列されている。女児も性行為や性交を望んでいる、あるいは最初嫌がっても次第に喜び出す、といったストーリーだ。

こうした漫画を、数十人の成人男性が黙々と立ち読みしている。年齢層は20代から50代くらいか。仲間と連れだって来ている会社員風の男性たちもいる。

東京都青少年健全育成条例は、強姦等の描写がある漫画やアニメ等の創作物を青少年に有害としてゾーニングの対象にしたが、成人が読む分には(わいせつ物に相当しない限り)何の縛りもかけない。店内の男性客が堂々とこれらの漫画を読むのは、当然といえば当然だ。

とはいえ、青少年にとって有害な創作物が、成人にとっては有害でないと本当に言い切れるだろうか。子どもに対する性犯罪の加害者の大半は成人である。しかも犯行動機の1つに「性的な漫画やアニメに刺激された」と挙げた成人加害者は、2004年に発生した奈良小1女児誘拐殺害事件を始め、近年では熊本女児殺害事件や広島女児かばん監禁事件など、枚挙にいとまがない。架空の出来事や人物を描いた創作物であっても、見る者に影響を与え、間接的に実在の被害者を生みだす可能性は、成人に対しても否定できないと言えよう。

 もちろん、性犯罪の加害者が犯行の理由としてメディアを挙げるのは、自分の責任を外的要因に転嫁するためとも推察される。また、メディアからこうした影響を受けるのは、「一部の特殊な人々」と一般に受け止められている。だが、性的創作物が与える影響に関して筆者が国内外の研究を概観したところ(被験者は中高生から成人まで様々ではあるが)、注目すべき知見が明らかになった。その詳細は『情報通信学会誌』2012103号に発表している。

これらの社会科学的知見が示すのは、因果関係ではなく相関関係であり、性的創作物を見た全ての人が攻撃的になるわけではない。しかし、子どもへの性犯罪発生状況と併せ見ると、児童ポルノ禁止法の改正など成人に対する性表現規制の制定を検討するにあたっては、創作物であることを理由に一律に規制対象から外すことは現実的でないと思われる。子どもを性的対象として描くことを禁じる表現面の規制や、購入時に身分証明書を求める入手面の規制など、一定の制限が受容される余地はあろう。

(『売買春問題ととりくむ会』、2014年3月寄稿)


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2014年3月24日 (月)

身近に潜む性の人身取引~ある日本人女子高生の場合(新聞寄稿)

Photo  西日本に住むカナさん(仮名)は高校1年生だった2002年から約1年半、売春組織で強制的に働かされた。父は公務員、母は専業主婦の家庭に育ち、進学校に在籍して放課後は塾へ通う暮らしが、ある日を境に一変した。

その年の夏、繁華街の飲食店でアルバイトをしていたカナさんが帰ろうと裏口を出ると、50代ぐらいの男が「ちょっと来て」と手招きする。お客さんかな、とついていった事務所で、突然男に殴りつけられ、性的に暴行された。

男はカナさんのかばんから生徒証や保険証、携帯電話を取り出した。学校や家族、友人の名前、親の職業を確認し、「これをバラしたら皆がどうなるか分かるよね」とカナさんを見据えた。「で、仕事の話なんだけどさあ」

毎週末、バイト帰りに組織の人間に待ち伏せされ、売春先へ連れて行かれた。客は、10代の少女が好みという30代から60代ぐらいの男たちだった。様々なプレイを要求され、薬物を注入されたり天井から吊るされたりするなど「ヒト以下の扱いを受けた」

 家族には打ち明けられなかった。カナさんは小さい頃から、行儀の良さや聞きわけの良さで親に評価されていると感じてきた。「いい子でいる期待に沿わなくちゃ、と。親に言っても受け止めきれないだろうと思った」。警察へ駆け込もうにも、親に連絡されるかもしれず、あきらめた。

 平日は16歳の女子高生として普通に学校へ行き、勉強したり友達と遊んだりする。売春の時だけ、完全に心のスイッチをオフにした。「切り替えないと、どんどん日常が浸食されてしまう。このまま身を持ち崩すんじゃないかと思うと気が狂いそうだった」

 終わりはあっけなく訪れた。2年生の2月、受験勉強に本腰を入れたいと考え、「もう客の相手はあまりできなくなる」と思い切って組織側に告げた。意外にも「それじゃ仕方ないな」とあっさりした答え。組織内には、同じように売春をさせられている女子高生たちが何人か囲われていた。「私の代わりはいくらでもいるんだ」と感じた。

 売春からは解放されたが、客との性行為の様子を組織側が撮影し、児童ポルノのDVDとしてインターネット上で密売していた。販売中止とデータ削除を求めると、代償に700万円を要求された。大学1年生になっていたカナさんは、複数の性風俗店をかけ持ちして懸命に働いた。1年あまりで金を用意し、ついにデータを削除させた。

 「これを私のゴールにしよう」。最初の被害から4年が過ぎていた。

 今月8日の「国際女性の日」、人身取引の問題を考える会合が東京都内で開かれた。人身取引とは、何らかの強制的な手段で人の自由を奪って働かせ、利益を得る行為で「現代の奴隷制」とも言われる。カナさんのケースも性的搾取に該当し、決して特異ではない。

この問題への取り組みの遅れを国際社会から批判され、日本政府がようやく刑法に人身売買罪を新設したのは05年のことだ。だが、「法の定義が狭く、包括的な対策は不十分」と、世界の人身売買の実態をまとめた米国務省の報告書(13年)で指摘されている。

 会合を主催したのは、人身取引被害者の救済を専門にするNPO法人「人身取引被害者サポートセンターライトハウス」。相談窓口を設置し、弁護士の紹介や病院への付き添いも行なう。同法人が昨年受けた相談は297件だが、全国の警察が摘発した人身取引事件は25件で、被害者は17人。「摘発は氷山の一角にすぎない。誰でも被害者になり得る」と同法人は訴える。

カナさんはいま、28歳。被害後、突然心臓の鼓動が早まり、目もかすむなどのパニック発作を頻発して電車に乗れなくなり、自傷行為も繰り返した。病院のカウンセリングに通い、全てを認めてくれる伴侶も得て、ようやく少し落ち着いたところだ。今後は同様の被害を受けた人とともに、当事者によるケアグループを立ち上げたいと考えている。

「あの頃は自分の状況が何かもわからなかった」とカナさん。被害の自覚がなければ助けも求められない。身近に潜む人身取引という犯罪を、まずは社会が広く認識する必要がある。


(熊本日日新聞『論壇』最終回、2014年3月16日寄稿)

*関連:性ビジネスの闇に堕ちた少女(新聞連載)

【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

 渡辺真由子著(Kindle版)

 望まない妊娠、中絶、デートDV……
  青少年の 「性的有害情報対策」としての
  メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?

関連の動き色々

 

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2014年1月16日 (木)

「児童ポルノ禁止法改正案と創作物」報告@ジェンダー法学会

ジェンダー法学会学術大会にて報告を行なった。
「メディアにおける『創作物の性表現』と『現実の性被害』との関係性
 ~児童買春・児童ポルノ禁止法改正案をめぐって」。

概要は下記の通り:

1.児童買春・児童ポルノ禁止法改正案と創作物
2.創作物の性表現と現実の被害事例
(1)創作物による実在児童の権利侵害

(2)性犯罪における創作物の利用
3.性表現の影響に関する研究

(1)実写版ポルノグラフィ-の影響研究
(2)創作物の性表現の影響研究

(3)性表現の影響研究の限界
4.性表現規制の今後の方向性

レジュメはこちら。(参考文献別紙)

会場の法学者や弁護士、現職議員の方々からは
「与党案は拡大解釈されないか」
「性表現物の展示方法への規制はどうあるべきか」
「海外の性表現規制はどうなっているのか」
等、活発な質疑が寄せられ、時間をオーバーするほど。
「是非もっと研究を進めてほしい」との声も多く頂いた。
有難うございます。

ちなみに今回の学会大会には、
福岡で1989年に提訴された全国初のセクハラ裁判に
携わった弁護士の方々も参加されていた。

実は私もテレビ局報道記者時代、
裁判から10年の節目に原告女性を取材し、「ニュースステーション」で特集を放映した。
当時を思い出すと感慨深い。
福岡セクハラ裁判の取材については
こちらで少し言及しており。


【参考文献】

103『性的有害情報に関する実証的研究の系譜
~従来メディアからネットまで』

情報通信学会誌103号

・性的有害情報が与える影響研究に関して、
 海外国内の最新状況を概観(児童ポルノ・創作物含む)
   ⇒要旨はこちら


最新刊!性教育とメディア・リテラシー

Photo_2
『性情報リテラシー』


・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
 リテラシー教育はどうあるべきか? 

 


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2013年8月 1日 (木)

児童ポルノ禁止法改正案と都条例(新聞寄稿)

Photo_3








継続審査となった「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正案が、
附則として「児童ポルノに類する漫画やアニメ、CG等と
児童の権利を侵害する行為との関連性」に関する調査研究を推進するよう
盛り込んだことで、賛否両論が沸き起こっている。

「被害児童が実在しない」創作物の性描写をどう扱うかという問題は、
2010年に改正された東京都青少年健全育成条例をめぐっても
大きな議論を呼んだ。
よって御参考までに、
「メディアの性表現と青少年保護」について当時私が新聞に寄稿した内容を
御紹介しよう。

---------------------------------------------------------------
『問題は作品の発信内容』

 小学生の女児が男性教師の下半身に嬉しそうに手を伸ばす。10代の姉と弟の生々しい近親姦。少女が全裸で鎖に縛られ、性的な拷問を受ける。

いずれも、成人指定されていない「一般向け」の漫画雑誌に掲載された内容である。カラーページの女児の裸は、第二次性徴前の体つきや肌の色が非常にリアルだ。カバーをかけられることもなく書店に並べられ、子どもも簡単に手に取ることが出来る。

 東京都の青少年健全育成条例改正案は、青少年に対する強姦等の悪質な性行為を描いた漫画やアニメを、成人向けの棚に陳列するよう求めた。現行の不健全図書指定制度は、規制の基準を「性器描写の明確さ」等に限定している。このため、子どもへの強姦や輪姦、近親姦を描く漫画であっても、性器がぼかされて等さえいれば実質的に野放しだ。  

 漫画やアニメといった創作物の性暴力描写については、「被害者が実在しないのだから規制は必要ない」との声もある。しかし、問題はそんなに単純ではない。漫画は、子どもの性意識や性行動に影響を与えているからだ。

日本性教育協会の調べ(2005)によれば、中高生が男女交際や性交に関する情報を入手する先として、「コミックス・雑誌」は「友人」に次ぎ2番目に多い。親や学校がまともに教えてくれないぶん、漫画は「性の教科書」として重宝されている。

私は昨年、都内の大学生男女を対象に、メディアと性意識・性行動との関連を調査した。ある男子は中学3年のとき、交際する彼女に初体験を迫った。だが彼女は乗り気ではない。結局、強引に性交した。その後、別れを告げられたという。

「当時よく読んでいた漫画に、女の子が口では『いやー、やめて』とか『やだー』って嫌がっていてもだんだん喜ぶ、っていうパターンが多かったんです。最初は恥ずかしがるフリをするもんだろう、と考えていました」

 漫画の性描写には、「女の子は本心では襲われたいと思っている」という、男性側の罪悪感をかき消す「強姦神話」が多々織り込まれている。人生経験の少ない子どもが、これらを信じることは大いにあり得るのだ。

 さらに、強姦や近親姦をあたかも子どもが喜んで受け入れているかのように描く漫画やアニメは、それを見る子どもの抵抗感を薄れさせかねない。自分の若さや性を「価値ある商品」と思い込まされれば、援助交際や下着販売に手を出したくもなるだろう。アジア女性基金の調査(1997)では、援助交際をする女子高校生は、メディアの情報を鵜呑みにする傾向が高いことが明らかになっている。

創作物は「何でもアリ」なだけに、一定の歯止めは必要だ。その作品が生身の人間を登場させるかどうかではなく、どのような「メッセージ」を発信しているかが問題なのである。同時に、学校や家庭において、メディアの性情報を批判的に読み解くリテラシー教育を取り入れることを求めたい。 

(毎日新聞『論点』、2010.6.11 掲載)

【参考文献】

Photo_2 ◆【実務編】
『性情報リテラシー』

・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?
・「性的有害情報対策」としての
 リテラシー教育はどうあるべきか? 
  ⇒メッセージ&目次    

103 ◆【データ編】

『性的有害情報に関する実証的研究の系譜
~従来メディアからネットまで』

情報通信学会誌103号

・性的有害情報が与える影響研究に関して、
 海外国内の最新状況を概観(児童ポルノ・創作物含む)
   ⇒要旨はこちら


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2013年2月25日 (月)

性ビジネスの闇に堕ちた少女(新聞連載)

*新聞に以前連載したこの取材記事、反響が大きかったため全文を掲載する。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕者が出たこともある「着エロ」業界、
そこに自ら足を踏み入れる少女の心理とは。そして、行きつく先とは……。

--------------------------------------------------------------
『性ビジネスの闇に堕ちた少女』

 「着エロ」という言葉を耳にするたび、A子(23)は体を固くする。「もし、あの写真を見られたら」

 白い肌に長い黒髪を持ち、スラリと背が高いA子。地方の高校を卒業後、上京して芸能事務所に所属した。テレビでちやほやされるようなタレントになりたかった。

「デ ビューへのステップ」として紹介された仕事は「着エロ」。「着衣したエロ」の略で、面積の小さい水着などを身に付けたまま、カメラに向かって卑わいなポー ズをとる。恥ずかしかったが、カメラマンやスタイリストが自分のためだけに動いてくれることに「嬉しさの方が大きかった」

 当時A子は19歳。だが撮影された画像は「16歳の女子高生」と謳われ、インターネット上で販売された。名前こそ偽名だが、素顔がさらされている。「別に嫌じゃなかったです。自分の姿を多くの人に見てもらえるのが、誇らしかったですね」

  幼い頃に母親を亡くし、父親一人の手で育てられた。大手メーカーで忙しく働く父は、A子にあまり構ってこなかったという。夜遊びや朝帰りをしても問い質されることもない。「認められていない」との思いがいつもあった。着エロはそんなA子が、自分の存在意義を確認出来る場だった。

「こういう仕事って、『お金のため』って言えば世間は納得するじゃないですか。私たちも面倒くさいから、とりあえずそう説明する。でも着エロをやってる子には、裕福な子や偏差値が高い大学の子もたくさんいますよ」

 着エロの世界は競争が激しい。若い子が次々と入ってくる。仕事は次第に来なくなった。「目が大きい方が仕事をもらえる」と事務所に言われ、瞼を二重に整形した。だが状況は変わらない。次に紹介されたのは、アダルトビデオの仕事だった。

 ビデオの撮影では、乱暴なプレイもされた。嫌だったが断ると次がないため、「いい子」でいた。その仕事も少なくなると、ソープランドに回された。それでも「必要とされている」との実感がA子を満足させた。

  足を洗ったのは、3年間の風俗業で貯めた800万円を当時の彼氏に持ち逃げされたから。現在は新たに結婚を約束した男性がいる。彼はA子の過去を全く知らない。着エロやAVの画像は、いまもネット上に漂っている。「婚約者には絶対にバレたくない。ポルノを撲滅させて欲しい」

 孤独や虚栄心につけ込む。それがポルノ・ビジネスだ。


(完・新聞連載)

【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

 渡辺真由子著(Kindle版)

 望まない妊娠、中絶、デートDV……
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2013年1月30日 (水)

【要旨あり】(児童ポルノ・創作物含む) 『性的有害情報の影響データ』調査研究論文

103 『性的有害情報に関する実証的研究の系譜~従来メディアからネットまで』
と題した論文を、情報通信学会誌に寄稿した。

この分野は近年、海外を中心にかなり研究が進んでいるが、
日本では2000年代半ば以降、ほとんど学術的報告がなされていない。

本稿はそれらの成果を新たに幅広くまとめ、
「性的有害情報に関して、海外国内の状況を概観した実証的・網羅的研究である」
との評を頂いたものである。

児童買春・児童ポルノ禁止法改正や青少年健全育成条例制定、
メディア自主規制等については様々な考え方があるだろうが、
性表現の影響に関する科学的なデータの必要性は共通していよう。
本稿が御参考になれば幸いである。

官公庁や企業、地方自治体による青少年保護対策として、
メディアの「どのような」性情報が、「なぜ」問題なのかを理解するにも
お役に立つだろう。

--------------------------------------------------------------
【要旨】

  青少年による性的有害情報への接触は、インターネットの普及で容易になった。フィルタリングが必ずしも有効でないスマートフォンの登場がその傾向を後押ししており、新たな対策は急務といえる。
 本稿は、マス・コミュニケーションの効果研究において、性的有害情報に関する従来メディアの研究を概観した上で、ネット上の性的有害情報をめぐり海外で行なわれている研究の最新動向を伝え、ネットならではの影響特性や影響研究の限界についても分析した。性に関する情報が全て有害なのではなく、問題は、その描写内容に「性暴力」が登場するかどうか、さらには被害女性の反応をどう描くかにあることが示唆される。CGの発達やコミュニティサイトの相互作用性など、ネットの特性が生み出す実態にも目を向けねばならない。
 ネット上の性的有害情報への対策を技術的な規制のみに頼るのは限界がある。新たな自主規制・法規制の検討や、性情報の歪みやネットならではの特性を批判的に読み解くリテラシー教育が、家庭や学校において今後より求められよう。
(情報通信学会誌 30-2)
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なお、上記論文は学術界向けのため、
一般の方はまず『性情報リテラシー』
性的有害情報が青少年に与える影響の実態を把握して頂きたい。

Photo ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

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2011年8月25日 (木)

「Hへの不安」とリテラシー

私のメールマガジン『週刊メディリテ!』の
サンプル版(無料)が更新された。

「Hへの不安」とリテラシー

本メルマガは、
AVや雑誌、漫画等のメディアが発信する性情報が
若者の実際の性行動にどのような影響を与えているかを、
女子と男子へのインタビューやアンケートに基づき
ルポしたものである。

メディアの性表現規制を考える際には、
こうした現場の「生の声」に
きちんと向き合わねばならない。

っていうかイマドキの若者に限らず、
昔から人間の性行動は
メディアに踊らされっぱなしやけどな。
まあ、その赤裸々な実態がわかります。

ご興味がある方は、
ご購読下さい


2011年8月 8日 (月)

児童ポルノ規制の必要性とは

201108_2

児童買春・ポルノ禁止法の改正案を、
民主党が今国会に提出することとなった。

漫画やアニメ、ゲーム等の創作物は
規制の対象外としている。
「表現の自由」への配慮に加え、
「性虐待の被害者が実在しないから問題ない」と
考えたとみられる。

だが、本当に問題ないのだろうか?
折しも私は、メディアの影響に関する世界の最新研究動向を
国内の学会で発表したばかりなので、
ご参考までに、ごく一部を紹介しよう。

メディアが与える主な影響の一つに
「観察学習効果」がある。
受け手はメディアで見た内容を模倣する、
というものだ。
メディアの暴力描写と、それを見た者の攻撃行動との
関連性を調べたアメリカの研究によれば、
映像でも漫画でも、それぞれ影響は生じた
(もちろん性虐待描写も、暴力の一種である)。

ゲームの場合も、
ユーザーをストーリーに参加させる
「相互作用性」により、
観察学習効果を強化させたり
ゲーム内容を現実と混同させやすくなったりするとされる。

しかも近年は
ネットの普及やCGの発達で、
より生身の人間に近いキャラクターを
創作することが可能になっており、
実写と創作物を厳密に区分することは難しい。

このため
児童ポルノに関する研究でも、
実写か創作物かにこだわるより、
その内容のメッセージ性
(「児童も性的対象にしちゃってOK」等)が
問題視されている。

被害が実際に発生してからでは遅い。
もし、本気で
「性虐待の起こりにくい社会」を目指すのであれば、
規制対象に創作物を含めることは
選択肢の一つとなるだろう。

なお、
児童ポルノ規制に関して
私がこれまでに
新聞等で述べた見解は、
メルマガ『週刊メディリテ!』のバックナンバー
お読み頂ける。

ところで上の写真は、
先日訪れた韓国の済州島。
沖縄並みの美しい海で知られるが、
かつて「4.3事件」という大虐殺があった土地。

【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

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2011年4月24日 (日)

【論文】ネット性情報が「歪んだ異性観」を促進する可能性

『慶応大学メディア・コミュニケーション紀要』に
論文を寄稿した。
「ネットの性情報に対する規制と
メディア・リテラシー教育の国際比較」
について。

インターネット上の違法・有害な性情報をめぐり、
・日本の規制とメディア・リテラシー教育の現状
・カナダの規制とメディア・リテラシー教育の現状
を比較、分析した研究結果を報告している。

ネット性情報への対策として、
日本の政策は規制面に偏る傾向があるが、
カナダは教育に力を入れていることが
明らかになった。

また、日本をはじめ世界の若者が
ネット上に溢れる性表現をどの程度目にしており、
そこからどのような「異性観」を得ているかを、
アンケート調査から分析。

注目すべきは、
青少年の異性観に、ネットの性情報が与える影響に関する
以下の結果である:

児童ポルノサイトを見た感想として、
「児童への性的好奇心が高まる」
「児童へ性行為をしてみたくなる」と答えた者が各4.5%いた。

さらに、女性全般への性犯罪と見なされる行為(痴漢や強姦など)を
性的興味を満たすために取り上げるサイトを見た者に至っては、
「そのような性行為への性的好奇心が高まる」と答えた者は
全体で実に1 割近く、9.3%もいた。

ネットをきっかけとする性犯罪の被害者は、「児童だけ」ではない。
児童ポルノのみならず、「ポルノ全般」への規制や教育のあり方も、
今後議論されるべきであろう。

なお本調査は、電通の吉田秀雄記念事業財団から助成を受けた
共同研究に基づく。
近く、海外で開かれる国際会議でも発表する予定である。

2010年11月19日 (金)

東京都青少年健全育成条例に関する論言  (週刊メディリテ!)

Photo

新刊!
日本初のプロフ専門書。

『子どもの秘密がなくなる日
 ~プロフ中毒ケータイ天国』

(主婦の友新書)



*******************************************
悪質な性描写のある漫画などを販売する際、
成人コーナーに陳列するよう書店に求める
東京都青少年健全育成条例改正案。
今月末から始まる都議会に再提出されることが
明らかになった。
今回は民主党も同意するとみられる、と報じられている。

私は過日、「どうする児童ポルノ規制」というテーマで
共同通信からの取材に応じた際、
都条例についてもコメントした。
メルマガでの報告を緊急公開しよう。
*******************************************

Q.規制強化論の背景に
「日本は児童ポルノ大国」という国際的批判がある。
A.日本発の児童ポルノは海外で……
   →続きは「週刊メディリテ!」バックナンバーで

【概要】
Q.犯罪との関係は

Q.漫画やアニメ、ゲームの影響は大きいのか

Q.実在の子どもを撮った写真や映像の
  単純所持規制は必要なのか

Q.表現の自由を侵す恐れがある。
  現状の規制では不十分なのか。

Q.新聞やテレビの扱い方をどうみるか。

--------------

■『好みは女教師もの』がサンプル版で読める!
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『渡辺真由子の週刊メディリテ!』   

メディアの性情報が子どもに与える影響、
児童ポルノ規制・性教育のあり方、
東京都青少年健全育成条例、
メディアと性行動の関連アンケート調査、データ etc......
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