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カテゴリー「メディア・リテラシー」の記事

2014年12月15日 (月)

「男女共同参画とメディア・リテラシー」インタビュー

Photo

















男女共同参画に関する情報誌の巻頭インタビューをお受けした。
「男女共同参画へ向けたメディア・リテラシー教育のあり方」がテーマ。

発行は鹿児島市。
鹿児島出身ではないワタクシメになぜお声が?と思ったら、
これまでにも精神科医の香山リカ氏や作家の落合恵子氏などが
登場されており、
鹿児島出身には限られないらしい。

インタビューでは以下のトピックについて
お話させて頂いた:

●男女共同参画基本法が施行されても市民の意識がなかなか変わらない背景に、メディアの影響が大きいといわれている。メディアのどんなところに男女共同参画を阻む要素があり、私たちはどのようにメディアと接すればいいのか?

●これからの社会を担う子供たちを教育する立場にある大人は、子供たちの男女共同参画意識を育てるためにどのように教え、接していけばいいのか?

男女共同参画に否定的な意見(生物学的な男女差を挙げるなど)もあるが、男女共同参画社会を推進する中で女性が果たせる役割(女性ならではの強み)にどのようなものがあるか?

●男女それぞれの個性を生かせる社会を実現するために、まず私たちにできる第一歩は何か?


男女共同参画社会推進のためには、個々がメディアリテラシーを磨くことが必要。『男女共同参画の理念に配慮した教育活動』実践に向け、是非メディアリテラシーについて学び、考えてほしいものである。

ちなみに私が一時期働いていた福岡には
鹿児島出身の人も沢山おり、
彼らに芋焼酎の美味しさを教えてもらった。

「黒じょか(土瓶)」で飲むイモ、たまらんばい。

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2014年11月27日 (木)

「子どものネットいじめと大人のメディア・リテラシー」講演@相模原市

神奈川県相模原市教育委員会が主催した人権講演会で
講師を務めた。

「子どものネットいじめと、大人のメディア・リテラシー
~子ども達のために私達大人の役割は何かを考える~」
がテーマ。

スマホ(スマートフォン)やSNSの普及により
子ども達が直面しているネット・LINEいじめの現状を認識すると共に、
大人自身が「メディア・リテラシー」を持ち、
様々な媒体から
発信される膨大な情報を正しく読み取り、
どのように行動し「大人の背中」
を見せていくべきかを考えよう、
との趣旨である。

お話したのは主に下記の3点:

●深刻化するネット・LINEいじめの現状と手口

●メディアが作る「常識」と、
「ネット世論」が仕立て上げられるカラクリ

●子どもたちを守るために必要な大人の「メディア・リテラシー」

いじめはメディアに影響される場合もあることから、
メディアのイデオロギーやネット世論のカラクリも解説。

神奈川県警のサイバー犯罪対策担当者の方も聴講に来られた。
私の書籍ツイッターをこまめにチェックして下さっているようで、
恐縮であります。

主催者の方によれば、
「教師やPTAの反応もとても良く、一般市民の方々も強く興味をもたれたようです」
とのこと。
参加者からの御感想も多数頂いた:

・大人が子どもに与える影響は大きい。ネットいじめから子どもを守るために、まず大人がメディア・リテラシーを身に付けることが大切だとわかった
・想像力の育成が大切、との話が印象的だった
・メディア・リテラシーについて、子どもや周りの人とも話したいと思った
・とても良かったです

・ネットいじめについて理論的に考えることが出来た
・偏ったメディアの報道やネットいじめについて、いかに大人が判断して子どもに伝えるかが大事だと思った
・大変勉強になりました
・情報を批判的に見ることの必要性を感じた
・メディアのイデオロギーの伝え方を知れた
・とてもわかりやすい内容だった
・ネットいじめの恐ろしさや、どういったことに子どもが悩むのかがよくわかった
・スマホやパソコンの使い方を子どもと話し合いたい
・親として学ぶことが多い内容だった
・大人がもっと子どもに関心を向けて勉強しなければいけないと思った
・新しい角度から、子どものネットいじめの解決方法をつかめた

……などなど。有難うございます!

ちなみに相模原市といえば、
私が非常勤として教壇に立っている相模女子大学がある。
このような形で地域貢献させて頂くのも、ご縁ですにゃ。


【参考文献】

1

『大人が知らない ネットいじめの真実』
(ミネルヴァ書房)


Media_literacy3

オトナの
メディア・リテラシー

(リベルタ出版)





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2014年11月14日 (金)

韓国テレビ局から「日本の放送表現規制」インタビュー

韓国の某キー局から、インタビューをお受けした。
世界各国のバラエティ番組の実状を取材し、
そこから垣間見える文化や社会、国民性を探るドキュメンタリー特集。

特に興味を持たれたのは、
日本のバラエティ番組における性表現や暴力表現が
他のアジアの国々に比べかなり過激に見えるにも関わらず、
なぜ国民や政府に受け入れられているのか、という点。

これについては、
「性の尊厳」や「人権」に対する意識の観点から
解説させて頂いた。

自主規制を重んじる放送審議制度が
日本に取り入れられた背景や、
BPOの役割についても御説明した。

また、
日本製のアダルトビデオの内容は
韓国の人々にもよく知られており、
「あのように歪んだ性情報があふれているのに、
日本の性教育はなぜ保守的なのか」
という議論も。

日本の性教育に求められる対策として、
性情報の歪みを読み解く目を育てる
「性情報リテラシー」の必要性を提言した。

今回のドキュメンタリー特集は
年明けに韓国全土でオンエアされる予定。

103
なお、
メディアの性表現が見る者にどのような影響を与えるかについては、
科学的なデータを
拙論『性的有害情報に関する実証的研究の系譜
~従来メディアからネットまで』
(情報通信学会誌)で、
現実の子ども達による体験談を
拙著『性情報リテラシー』で紹介している。

Photo ご興味がある方はどうぞ!





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2014年8月27日 (水)

AERAで「子どもを犯罪者にしないために」コメント

201491 発売中のアエラにて
インタビューにお応えしている。

「子どもを犯罪者にしないために」という特集。

佐世保女子高生殺人事件では
加害少女が残虐な描写のある漫画を
愛読していたことが報じられ、
他の様々な少年事件においても、
加害者が暴力的なゲーム等を好んでいたことが
明らかにされるケースは多い。

このため私には
「メディアの暴力表現の影響と対策」を
解説して欲しいとの御依頼であった。




・インターネット、漫画、ゲームなどの暴力表現が子どもに与える影響
・子どもに悪影響を与えやすい表現とは
・子どもが暴力表現に影響を受けやすくなっている精神状態とは
・有害と思われる表現と子どもをどう付き合わせていけばよいか

……といった点をお話。

他に「夜回り先生」の水谷修氏や
カウンセラーの心屋仁之助氏が各立場から回答されており、
こちらも読みごたえアリ。

なお、
メディアの暴力表現が与える影響をめぐる
詳細な内容については、
拙著『オトナのメディア・リテラシー』『大人が知らない ネットいじめの真実』
国内外の研究結果を紹介しているほか、
学術論文にもまとめている。

ご興味のある方はどうぞ!


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2014年5月14日 (水)

メディア情報との向き合い方(メディア・リテラシー入門)

Japan_in_depth_2  安倍内閣の支持率が、消費増税後も下がっていないようだ。支持する理由としては、「首相の人柄」や「指導力」が上位に挙げられている

だが、この種の調査に答える国民のうち、総理や閣僚と直接話をして人柄に触れたり、彼らの言動を間近に見て指導力を確認したりした人がどれだけいるか。ほとんどの人は、「新聞記事にこう書かれていたから」「テレビであんなインタビューが流れていたから」と、メディアが報じた内容に基づいて判断を下しているはずだ。すなわち、メディアが世論を作り上げているといっても過言ではない。

政治に限った話ではない。一個人が直接見聞きする情報などタカが知れている。海外で起きている事象、ある物事についての「世間一般の」考え方、「正しい」子育て、「素敵な」恋愛、はては「理想の」人生まで、ありとあらゆる情報を我々はメディアを通して吸収し、それらに多少なりとも依拠しつつ毎日を過ごしている。

ここで問題となるのは、メディアが発信する情報を果たして鵜呑みにして良いか、という点だ。情報は天から降ってくるわけではない。我々のもとに届けられる過程で、メディア内部の作り手の視点、登場する当事者の考え、関連する権力機関の意図など、様々な思惑が絡み合った「加工品」である。メディア情報に接するにあたっては、このような背景を認識した上で、自分の頭で判断することが必要だ。そのために求められるのが「メディア・リテラシー」である。

メディア・リテラシーとは、「メディアの特質、手法、影響を批判的に読み解く」能力と、「メディアを使って表現する」能力の複合を指す。欧米諸国を中心に学校教育に取り入れられている。一方、日本では一部の教科で情報の読み解きを教える動きがあるものの、文部科学省は、学習指導要領にメディア・リテラシーに関する規定をいまだ明記していない。

 我々が暮らす民主主義社会は、分別ある平等な社会を築くために最もふさわしいとされる形態だ。この社会でメディアに求められる役割は次の5点である。

1.「地域の共同体が物事を決める過程に人々の参加を促す」
 2.「社会的弱者やマイノリティなど、多様な人々の声を代表する」
 3.「公共政策によって暮らしが良くなるという
                  大衆の信条を支える」
 4.「政治・文化資源の不平等を埋め合わせる」
 5.「政治や市民生活における幅広い選択肢を示す」

いまのメディアは、これらの責務を全うしているか。我々がリテラシーを持って見つめていかねばならない。

(NEXT MEDIA "Japan In-Depth" 寄稿に加筆)

【参考文献】

Book3オトナのメディア・リテラシー
         (リベルタ出版)  

◆大学入試 出題文献 
◆学研小論文模試 出題文献




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2014年4月18日 (金)

大学講義「メディア・リテラシー」がスタート!

今年度も大学での講義が始まりました!
私がいま教えているのは相模女子大学。

「メディア・リテラシー」をテーマに、
ニュースや映画、広告、インターネットを読み解いていく。
学期後半では、学生たち自身による取材や撮影を通し、
「発信者」の立場も学んでもらう予定だ。

なかでも人気があるのが「恋愛リテラシー」。
若い女性に知っておいてもらいたいこととして、
メディアの恋愛や性に関する情報の偏りや誤解、
デートDVの問題を取り上げている。
女子大生たちは色々身に覚えがあるようで、
レポートでは深刻なエピソードが綴られてきたりする。

この講義は2年生以上向けだが、
私は1年生向けにも、「エッセイ・小論文の書き方」講義を担当中。
1年生の時に書き方講義を受けた学生が、
2年生になるとメディア・リテラシー講義を受講する現象も見られるようになった。
嬉しいことでおじゃる。

ふと気がつけば、
カナダから帰国後の2007年から
慶応大学メディア・コミュニケーション研究所で教え始めたのを皮切りに、
複数の大学で教壇に立ってもう8年目になる。

学生が知識を吸収してどんどん成長していく様子を見るのは楽しいし、
私自身の学びにもつながる。
出来るだけ続けていきたいものです。

そうそう、
私の大学講義に関する詳しい情報はこちら!


【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

 渡辺真由子著(Kindle版)

 望まない妊娠、中絶、デートDV……
  青少年の 「性的有害情報対策」としての
  メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?

関連の動き色々



Book3オトナのメディア・リテラシー
         (リベルタ出版)  
◆大学入試 出題文献 
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2014年3月10日 (月)

福祉協議会向けにメディア・リテラシー講演

千葉県浦安市の民生委員児童委員協議会研修会にて
講演を務めた。
同市社会福祉協議会の主催。

テーマは
「メディアをどう読み解くか~メディア・リテラシーとは?」。
市内5地区の合同研修会とのことで、
民生委員・児童委員の方々100人超が御参加。
子どもと関わる方も多いため、
インターネットのいじめ問題にも少々触れさせて頂いた。

浦安市ではこれまでも何度か講演を務めたことがあり、
以前の講演を聞かれた方から
「今回はこちらで是非」とお声かけ頂いた。
恐縮です!

ちなみに舞浜駅のそばという土地柄、
このエリアには某夢の王国に勤務する方も住んでいるとか。
あの着ぐるみの「中の人」と街ですれ違っているかもしれないと思うと、
ロマンじゃ~ありませんか。


【最新刊!】
性教育とメディア・リテラシー

Photo_2
『性情報リテラシー』

・望まない妊娠、中絶、デートDV……
  青少年の 「性的有害情報対策」としての
  メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?

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2014年2月20日 (木)

「メディアと人権」講演@茨城

「メディアに隠された意図を読み解く~情報に惑わされず、真実を見抜く~」
と題して、講演を務めた。

茨城県人権啓発推進センターが主催したヒューマンライツ・セミナーにて。

・メディア・リテラシーとは何か?
・人権とメディア・リテラシー
 -女男共同参画
 -いじめ
・現代メディアの問題点と対応
 -インターネット・リテラシー
・メディアに左右されないために

……といった内容をお話させて頂いた。

ネットのランキングサイトとの付き合い方なども
御紹介したところ、
「自分もよくグルメサイトを使うので参考になります!」
と参加者の方。
そうそう、「○○ナビ」や「○○ログ」では、
星の数の見極め方にコツが必要なのです。

後日、主催者の方からも
「いまどきのニーズに合う内容で、大変好評でした」との
御連絡が。

関係者の皆さま、有難うございました!


【参考文献】

Book3オトナのメディア・リテラシー
         (リベルタ出版)  
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『性情報リテラシー』

・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
 リテラシー教育はどうあるべきか? 

関連の動き色々


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2014年1月23日 (木)

メディア表現の影響と「明日、ママがいない」

批判が巻き起こっている日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」。
私も第二話を見てみた。

結論から言えば、多くの人に見てもらいたい良作だと思う。
児童養護施設に暮らす子ども達が様々な障壁に直面する様や
トラウマに苦しむ様を、
「子ども側の視点」に徹底して寄り添いながら描いている。
かといって単に「可哀想な存在」として扱うのではなく、
所々にユーモアを効かせ、彼女ら彼らの生命力や逞しさすら感じさせる内容だ。

ドラマには、養護施設の職員が入所する子どもに暴言を吐く場面などがあり、
実在する病院や養護施設関係団体が
「施設勤務者や入所者への誤解や偏見を生む」と強く抗議している。

だが、ドラマ中のそうした職員の言動は、
子どもの目から見た「悪」として表現されている。
里親のエゴや一般家庭の子どもによる中傷、といったエピソードに関しても、
(それらが現実にあり得るかどうかは別にして)
あくまで「許されないもの」として描いている。

メディアの影響という観点から問題になるのは、
その作品が持つ「メッセージ性」である。
ある現象を肯定的に伝えるか、否定的に伝えるか。
例えば、反社会的な行動を「カッコいい」「面白い」という文脈で表せば、
演出だとしても受け手に与える悪影響は否定できない。

そのような意味で、「明日、ママがいない」は
あくまでフィクション作品の範疇に収まるもので、
放送自粛の必要はないと考える。
むしろ「子どもたちの視点から<愛情とは何か>を描く」という
初志を貫き、きっちり最後まで放送して欲しい。

メディア表現の影響問題については
折しも先日、新聞に寄稿したところだったので
御参考までに掲載しよう:

----------------------------------------

14119_2 【メディアの暴力表現は何が問題か】
 

この年末年始に放映された大型バラエティ番組の中に、信じられない光景を見た。芸人たちが失言するたびに罰として尻を叩かれる、1人の芸人の身体を洗濯挟みでつねったり、熱湯につけたりして、嫌がる様子を皆で笑う……。目をそむけたくなる内容ばかりだ。

私が信じられないと感じたのは、暴力表現のひどさに対してというより、「いまだに」このような表現がおおっぴらに放映されている現実に対してだ。メディアの暴力表現がはらむ様々な問題点については、かねて方々で指摘されている。改めて代表的な3つの点を確認したい。

第一は、いじめとの関連性だ。周知のように子どもたちは、バラエティ番組のネタをすぐに仲間内で取り入れる。人生経験が少ないだけに、テレビの世界で行われている内容について善悪を吟味することなく「カッコいい」「憧れ」と感じてしまうのだ。

だが、「面白くするための演出」という大義名分にくるんだテレビの暴力表現の数々は、子どもたちにいじめのヒントを与えうる。「こんな風にからかうと、もっと面白い」と教えているようなものだ。目の前で人がバカにされる様子を集団で眺めて楽しむという番組の構図も、いじめを傍観する姿勢を肯定しているかに思わせる。

私がいじめ問題を取材した際、ある女子中学生は「メディアの模倣犯は出てきていると思う。過激な暴力表現をテレビで見て、同じようなことがカッコいいと思う子もいる」と語っていた。

第二は、暴力表現そのものが及ぼす影響である。内閣府が1999年に報告した「青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究」によれば、テレビの暴力シーンへの接触が多い子どもほど、「他人を叩く、殴る、蹴飛ばす」直接的暴力、「相手の傷つくようなことを言う」間接的暴力ともに、経験している割合が高い。

一方、被害を受けた者の辛さに対する共感性は低くなるという。暴力描写を何度も見るうちにそれが「普通のこと」に思え、暴力への抵抗感が薄れるのだ。アメリカで行なわれた長期調査でも、子ども時代に暴力表現を多く見た者ほど、大人になってから攻撃的な言動を取る傾向が明らかになった。

第三は、「笑い」と結びつける危険性について。バラエティ番組に見られるお笑いネタの多くは「優越型」と呼ばれるタイプである。相手の外見やコンプレックスをあざ笑ったり、見下したりすることでウケを狙う内容を指す。このタイプの笑いは、例えば体の太さや背の低さといった身体的特徴に過ぎないものを「欠点」と決め付け、からかいの対象とすることに罪がある。「こういう人はバカにしてもいいんですよ」といった誤ったメッセージを、見る者に送っているからだ。

笑いには「救済型」もある。ある対象を笑い飛ばすことで、その対象からの圧力を跳ね返そうとするものだ。1960~80年代の北米では、黒人や女性、同性愛者のコメディアンがショービジネスに進出し、自分たちへの差別や偏見を痛烈に皮肉った。「オレの肌が黒くて何が悪い」と開き直り、バカにする人たちをバカにした。そうすることで、社会的抑圧から自分自身を「救済」したのだ。残念ながら、日本のお笑いにはほとんど見られない。

テレビ番組の暴力表現について、業界は自主規制で対応している。第三者機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)は2007年、バラエティ番組の罰ゲームなどに関し「青少年は放送内容を『社会的に肯定されている』と受けとめやすい」と指摘。各局に対応を求めたが、過激な暴力表現はなおも見られる。このままでは国の介入による法規制を招き、テレビ業界は自らの首を絞める結果になりかねない。

受け手の姿勢も重要である。親がテレビの暴力表現に笑っていては、我が子に「友達の悪口を言うな」と注意しても説得力がない。冒頭のバラエティ番組は高視聴率を獲得した。「政治のレベルは国民のレベル」と言われる。メディアを育てるのも同様に、我々受け手の意識次第であろう。

(熊本日日新聞『論壇』、2014年1月19日寄稿) 

*追記*
本記事は膨大な数のアクセスを頂き、
Yahoo!ニュースのBuzz記事に認定されました。


【参考文献】

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『性情報リテラシー』

・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
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2013年9月10日 (火)

いじめとジェンダー、メディアの関係(雑誌寄稿)

「あんたは気持ち悪いから、死んでええわ」。
芸人が舞台上で相方に言い放つ。そして、手拍子を取り始めた。
「死―ね、死―ね、死―ね……」。
観客たちも、笑いながら手を打ち鳴らす。「死―ね、死―ね、死―ね……」

あるお笑い公演を見たときの一幕だ。芸人たちのネタは、相手の外見やコンプレックスをあざ笑ったり、見下したりすることでウケを狙う内容が多い。聞き手の優越感をくすぐるので、笑いがとりやすいからだ。この種のお笑いが、日常的にメディアを通して多くの子どもの目に触れ、「いじめ」のヒントを与えている。

体の太さや髪型、背の低さ、髪の毛の薄さなどは本来、身体的「特徴」に過ぎない。その特徴を「欠点」と決め付け、からかいの対象とすることは即ち、「この特徴を持っている人はバカにしてもいいんですよ」というメッセージである。それは子どもの価値観に浸透し、行動パターンを規定する。「あいつの髪型は変わっているから」「あの子の口は臭うから」自分たちより劣っている。だから、いじめてもいいのだと。

中学時代にいじめられたという高校1年生のA子は、こう指摘する。
「いまの笑いって人を叩いたり、自分がその人より上にいたりすることを前提に成り立っている。そういうのを見たら現実の場に持ち込んでしまって、見下せる相手をいじめるんじゃないかな」

女子のいじめの場合、「ジェンダー(社会的・文化的な性のありよう)」が関わるケースも多い。最近の女子はまず「仲良しグループ」を作ったうえで、その内でいじめを行なう傾向がある。メンバーを一人ずつ順番にいじめのターゲットにすることで、結束を強めていくのだ。「いじめるのは嫌だと言ったら仲間はずれに されるから、怖くて言い出せない。いつ自分がターゲットになるかと、毎日ビクビクしている」と、ある女子中学生は打ち明ける。

私たちの社会は女の子に対して、「気配りが出来るように」「みんなと仲良くしなさい」と求めがちである。逆に、意見をはっきり主張する自立心旺盛な子には「女の子なのに気が強い」「男勝り」とマイナス評価を与える。

幼い頃からこうしたジェンダー観を刷り込まれてきた女子たちは、学校内でも「和」を保つことに神経を尖らせ過ぎて、いじめをしてしまう。

もう1つ、女子のいじめとして特徴的なのは、顔立ちが可愛い子や男子にモテる子を、標的にしがちなことだ。そのような子に対して、「調子に乗ってんじゃねぇよ」と陰口を叩いたり、暴行を加えたりする。

「顔は女の命」というジェンダー観は、世間に依然として残る。メディアも美容整形特集を組み、可愛い女の子をもてはやす。外見至上主義ともいえる価値観を、女子は育つ過程で「学習」していくのだ。このため、外見が目立つ子に対して「自分より優れている存在」と嫉妬と脅威を感じ、足を引っ張ろうとする。


メディアやジェンダーが絡むいじめに対処するために、大人に出来ることとは何か。

最も重要なのは「メディア・リテラシー」の育成である。
「メディアの特質、手法、影響を批判的に読み解く」能力と、「メディアを使って表現する」能力の複合だ。
子どもが自分の頭で情報を判断できるようになるには、特に前者が早急に必要である。

子どもにメディア・リテラシーを教えるには、まず大人のあなたが、
メディアが子どもに与える影響を理解しておかねばならない。
冒頭のお笑い公演で、「死ね」コールに率先して手拍子をとり、
相方をブタ呼ばわりするコントに大口を開けて笑っていたのは、なんと大人たちであった。

笑う子どもをたしなめる親もいない。
お笑いに慣れてしまい、その異常さを感知できないのだろう。
子どもはそんな親の姿を見て、「やっぱりバカにしていいことなんだ」と学習する。

子どもと一緒にメディアに接しているときの親の振る舞いは、メディア・リテラシー教育のキーポイントだ。
例えば子どもとテレビを見ていて、他人を見下す言動や暴力表現が出てきたら、
「これは許されない行為だ」とか「こんなことは現実にはあり得ない」などとコメントしよう。
テレビに没頭する子どもを冷静にし、番組を客観視させる。
そこで繰り広げられている内容を「普通のこと」と認識するのを防ぐ効果があるのだ。

また、メディアが女性について「愛想良くあるべき」「出しゃばるのはみっともない」といった論調で描いていたら、
「性別による決めつけはおかしい」「あなたらしさが大事」と説明しよう。

「どうしてメディアでは、女の子の外見が重要視されているの?」と問いかけ、
社会に潜むジェンダーの偏見に気付かせるのもいい。

つまり、メディア・リテラシー教育で重要なのは、大人が子どもに「一歩引いた目線」を提供することだ。
子どもがメディアを真似て軽々しくいじめを行なわないよう、情報を鵜呑みにしない目を育んでいこう。

(教育雑誌『おそい・はやい・ひくい・たかい』寄稿)

【参考文献】

1
大人が知らない ネットいじめの真実


   (渡辺真由子著、ミネルヴァ書房)

 ◆中学道徳教材 採用文献 (3刷)



Photo_2  『性情報リテラシー』 (渡辺真由子著)

 ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
  自らの性意識・性行動に どう反映させているのか?
 ・「性的有害情報対策」としてのリテラシー教育とは?

  ⇒メッセージ&目次

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