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カテゴリー「執筆活動」の記事

2013年9月10日 (火)

いじめとジェンダー、メディアの関係(雑誌寄稿)

「あんたは気持ち悪いから、死んでええわ」。
芸人が舞台上で相方に言い放つ。そして、手拍子を取り始めた。
「死―ね、死―ね、死―ね……」。
観客たちも、笑いながら手を打ち鳴らす。「死―ね、死―ね、死―ね……」

あるお笑い公演を見たときの一幕だ。芸人たちのネタは、相手の外見やコンプレックスをあざ笑ったり、見下したりすることでウケを狙う内容が多い。聞き手の優越感をくすぐるので、笑いがとりやすいからだ。この種のお笑いが、日常的にメディアを通して多くの子どもの目に触れ、「いじめ」のヒントを与えている。

体の太さや髪型、背の低さ、髪の毛の薄さなどは本来、身体的「特徴」に過ぎない。その特徴を「欠点」と決め付け、からかいの対象とすることは即ち、「この特徴を持っている人はバカにしてもいいんですよ」というメッセージである。それは子どもの価値観に浸透し、行動パターンを規定する。「あいつの髪型は変わっているから」「あの子の口は臭うから」自分たちより劣っている。だから、いじめてもいいのだと。

中学時代にいじめられたという高校1年生のA子は、こう指摘する。
「いまの笑いって人を叩いたり、自分がその人より上にいたりすることを前提に成り立っている。そういうのを見たら現実の場に持ち込んでしまって、見下せる相手をいじめるんじゃないかな」

女子のいじめの場合、「ジェンダー(社会的・文化的な性のありよう)」が関わるケースも多い。最近の女子はまず「仲良しグループ」を作ったうえで、その内でいじめを行なう傾向がある。メンバーを一人ずつ順番にいじめのターゲットにすることで、結束を強めていくのだ。「いじめるのは嫌だと言ったら仲間はずれに されるから、怖くて言い出せない。いつ自分がターゲットになるかと、毎日ビクビクしている」と、ある女子中学生は打ち明ける。

私たちの社会は女の子に対して、「気配りが出来るように」「みんなと仲良くしなさい」と求めがちである。逆に、意見をはっきり主張する自立心旺盛な子には「女の子なのに気が強い」「男勝り」とマイナス評価を与える。

幼い頃からこうしたジェンダー観を刷り込まれてきた女子たちは、学校内でも「和」を保つことに神経を尖らせ過ぎて、いじめをしてしまう。

もう1つ、女子のいじめとして特徴的なのは、顔立ちが可愛い子や男子にモテる子を、標的にしがちなことだ。そのような子に対して、「調子に乗ってんじゃねぇよ」と陰口を叩いたり、暴行を加えたりする。

「顔は女の命」というジェンダー観は、世間に依然として残る。メディアも美容整形特集を組み、可愛い女の子をもてはやす。外見至上主義ともいえる価値観を、女子は育つ過程で「学習」していくのだ。このため、外見が目立つ子に対して「自分より優れている存在」と嫉妬と脅威を感じ、足を引っ張ろうとする。


メディアやジェンダーが絡むいじめに対処するために、大人に出来ることとは何か。

最も重要なのは「メディア・リテラシー」の育成である。
「メディアの特質、手法、影響を批判的に読み解く」能力と、「メディアを使って表現する」能力の複合だ。
子どもが自分の頭で情報を判断できるようになるには、特に前者が早急に必要である。

子どもにメディア・リテラシーを教えるには、まず大人のあなたが、
メディアが子どもに与える影響を理解しておかねばならない。
冒頭のお笑い公演で、「死ね」コールに率先して手拍子をとり、
相方をブタ呼ばわりするコントに大口を開けて笑っていたのは、なんと大人たちであった。

笑う子どもをたしなめる親もいない。
お笑いに慣れてしまい、その異常さを感知できないのだろう。
子どもはそんな親の姿を見て、「やっぱりバカにしていいことなんだ」と学習する。

子どもと一緒にメディアに接しているときの親の振る舞いは、メディア・リテラシー教育のキーポイントだ。
例えば子どもとテレビを見ていて、他人を見下す言動や暴力表現が出てきたら、
「これは許されない行為だ」とか「こんなことは現実にはあり得ない」などとコメントしよう。
テレビに没頭する子どもを冷静にし、番組を客観視させる。
そこで繰り広げられている内容を「普通のこと」と認識するのを防ぐ効果があるのだ。

また、メディアが女性について「愛想良くあるべき」「出しゃばるのはみっともない」といった論調で描いていたら、
「性別による決めつけはおかしい」「あなたらしさが大事」と説明しよう。

「どうしてメディアでは、女の子の外見が重要視されているの?」と問いかけ、
社会に潜むジェンダーの偏見に気付かせるのもいい。

つまり、メディア・リテラシー教育で重要なのは、大人が子どもに「一歩引いた目線」を提供することだ。
子どもがメディアを真似て軽々しくいじめを行なわないよう、情報を鵜呑みにしない目を育んでいこう。

(教育雑誌『おそい・はやい・ひくい・たかい』寄稿)

【参考文献】

1
大人が知らない ネットいじめの真実


   (渡辺真由子著、ミネルヴァ書房)

 ◆中学道徳教材 採用文献 (3刷)



Photo_2  『性情報リテラシー』 (渡辺真由子著)

 ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
  自らの性意識・性行動に どう反映させているのか?
 ・「性的有害情報対策」としてのリテラシー教育とは?

  ⇒メッセージ&目次

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2013年4月19日 (金)

【寄稿】『性教育にメディア・リテラシーを』for日本性教育協会

Photo (財)日本性教育協会が発行する「現代性教育研究ジャーナル」に寄稿した。

『メディアの性情報と性情報リテラシー ~性教育にメディア・リテラシーを』
というテーマ。

・「性情報リテラシー」とは何か?
・青少年の性的メディア利用の現状
・メディアの性情報の特徴と
 青少年の性意識・性行動に与える影響
・性情報リテラシー教育のあり方

……といった点を、若者たちへの詳細なインタビュー取材&アンケート調査に基き述べている。
こちらで全文読めます。

10代のデートDVは増加傾向にあり、
子どもたちが吸収する性情報の歪みを教育現場で教えることは喫緊の課題といえよう。

Photo_2
なお、今回ご紹介した内容は
取材結果のほんの一部である。

自分たちの性行動・性意識とメディアとの関係について
更にディープかつ赤裸々な若者たちの声は、
最新刊『性情報リテラシー』で具体的に綴っています。




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2013年4月 9日 (火)

メディア・リテラシー新聞連載「論壇」&公式サイトがオープン!

Photo_2 新年度が始まりましたねえ。
社会人になると、年度が変わっても大した感慨はなく
日々が淡々と過ぎてしまうからフシギなものである。
自分なりに「新年度らしいこと」を勝手に設定して、
フレッシュな気持ちを奮い起そうではありませぬか。

私の場合、新年度らしいことは2つ。

1つは、熊本日日新聞の「論壇」というコーナーで連載を始めます。

熊本日日といえば、熊本県内で購読率トップ、シェアは実に7割近くに上る強烈新聞である。
が、私は熊本出身でもなければ在住でもない。

なぜワタクシにお声が?と思い昨年の執筆陣を見れば、
北海道大学の山口二郎教授や作家の雨宮処凛氏などで、
どうやら熊本との地縁はあまり問われないようである。

今年度の執筆陣も、五百旗頭 真(いおきべ まこと)神戸大学名誉教授をはじめ
そうそうたる顔ぶれで、私が最年少&唯一の女性。
恐縮だが、「情報の読み解き方」を主題にメディア・リテラシーを紹介して欲しいとの
リクエストを頂いたので、
私なりにジェンダーの視点を交えつつ論じていきたい。

それにしても新聞社が、自己批評につながるメディア・リテラシーを主題とした連載に
踏み切るとは、画期的なこと。しかもそれを地方紙が率先して行なうという事実は意義深い。


さて、もう1つの「新年度らしいこと」はですね……。

公式ホームページがオープンしました

Photo

テーマは「英国風」。
なんちゃって。イメージ合ってるでしょうか?

このブログともども、ご愛顧下さいな。

 


Photo_2
 メールマガジン 『まゆマガ。』  
 テレビ局への就職活動から退職準備、
 留学、独立まで……
 「渡辺真由子の作り方」をギュギュッと凝縮!



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2013年2月25日 (月)

性ビジネスの闇に堕ちた少女(新聞連載)

*新聞に以前連載したこの取材記事、反響が大きかったため全文を掲載する。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕者が出たこともある「着エロ」業界、
そこに自ら足を踏み入れる少女の心理とは。そして、行きつく先とは……。

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『性ビジネスの闇に堕ちた少女』

 「着エロ」という言葉を耳にするたび、A子(23)は体を固くする。「もし、あの写真を見られたら」

 白い肌に長い黒髪を持ち、スラリと背が高いA子。地方の高校を卒業後、上京して芸能事務所に所属した。テレビでちやほやされるようなタレントになりたかった。

「デ ビューへのステップ」として紹介された仕事は「着エロ」。「着衣したエロ」の略で、面積の小さい水着などを身に付けたまま、カメラに向かって卑わいなポー ズをとる。恥ずかしかったが、カメラマンやスタイリストが自分のためだけに動いてくれることに「嬉しさの方が大きかった」

 当時A子は19歳。だが撮影された画像は「16歳の女子高生」と謳われ、インターネット上で販売された。名前こそ偽名だが、素顔がさらされている。「別に嫌じゃなかったです。自分の姿を多くの人に見てもらえるのが、誇らしかったですね」

  幼い頃に母親を亡くし、父親一人の手で育てられた。大手メーカーで忙しく働く父は、A子にあまり構ってこなかったという。夜遊びや朝帰りをしても問い質されることもない。「認められていない」との思いがいつもあった。着エロはそんなA子が、自分の存在意義を確認出来る場だった。

「こういう仕事って、『お金のため』って言えば世間は納得するじゃないですか。私たちも面倒くさいから、とりあえずそう説明する。でも着エロをやってる子には、裕福な子や偏差値が高い大学の子もたくさんいますよ」

 着エロの世界は競争が激しい。若い子が次々と入ってくる。仕事は次第に来なくなった。「目が大きい方が仕事をもらえる」と事務所に言われ、瞼を二重に整形した。だが状況は変わらない。次に紹介されたのは、アダルトビデオの仕事だった。

 ビデオの撮影では、乱暴なプレイもされた。嫌だったが断ると次がないため、「いい子」でいた。その仕事も少なくなると、ソープランドに回された。それでも「必要とされている」との実感がA子を満足させた。

  足を洗ったのは、3年間の風俗業で貯めた800万円を当時の彼氏に持ち逃げされたから。現在は新たに結婚を約束した男性がいる。彼はA子の過去を全く知らない。着エロやAVの画像は、いまもネット上に漂っている。「婚約者には絶対にバレたくない。ポルノを撲滅させて欲しい」

 孤独や虚栄心につけ込む。それがポルノ・ビジネスだ。


(完・新聞連載)

【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

 渡辺真由子著(Kindle版)

 望まない妊娠、中絶、デートDV……
  青少年の 「性的有害情報対策」としての
  メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?

関連の動き色々


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2013年1月30日 (水)

【要旨あり】(児童ポルノ・創作物含む) 『性的有害情報の影響データ』調査研究論文

103 『性的有害情報に関する実証的研究の系譜~従来メディアからネットまで』
と題した論文を、情報通信学会誌に寄稿した。

この分野は近年、海外を中心にかなり研究が進んでいるが、
日本では2000年代半ば以降、ほとんど学術的報告がなされていない。

本稿はそれらの成果を新たに幅広くまとめ、
「性的有害情報に関して、海外国内の状況を概観した実証的・網羅的研究である」
との評を頂いたものである。

児童買春・児童ポルノ禁止法改正や青少年健全育成条例制定、
メディア自主規制等については様々な考え方があるだろうが、
性表現の影響に関する科学的なデータの必要性は共通していよう。
本稿が御参考になれば幸いである。

官公庁や企業、地方自治体による青少年保護対策として、
メディアの「どのような」性情報が、「なぜ」問題なのかを理解するにも
お役に立つだろう。

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【要旨】

  青少年による性的有害情報への接触は、インターネットの普及で容易になった。フィルタリングが必ずしも有効でないスマートフォンの登場がその傾向を後押ししており、新たな対策は急務といえる。
 本稿は、マス・コミュニケーションの効果研究において、性的有害情報に関する従来メディアの研究を概観した上で、ネット上の性的有害情報をめぐり海外で行なわれている研究の最新動向を伝え、ネットならではの影響特性や影響研究の限界についても分析した。性に関する情報が全て有害なのではなく、問題は、その描写内容に「性暴力」が登場するかどうか、さらには被害女性の反応をどう描くかにあることが示唆される。CGの発達やコミュニティサイトの相互作用性など、ネットの特性が生み出す実態にも目を向けねばならない。
 ネット上の性的有害情報への対策を技術的な規制のみに頼るのは限界がある。新たな自主規制・法規制の検討や、性情報の歪みやネットならではの特性を批判的に読み解くリテラシー教育が、家庭や学校において今後より求められよう。
(情報通信学会誌 30-2)
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なお、上記論文は学術界向けのため、
一般の方はまず『性情報リテラシー』
性的有害情報が青少年に与える影響の実態を把握して頂きたい。

Photo ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
リテラシー教育はどうあるべきか?

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・【お知らせ】大学客員講義 受付スタート!


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2012年12月21日 (金)

進研ゼミ高1教材で「生まれ変わるなら男?女?」

ベネッセが発行する進研ゼミ高1講座の教材『My Vision』12月号で、
「生まれ変わるとしたら男と女どっちがいい?」という特集が組まれた。
私もコメントしている。

高1会員を対象としたアンケートによれば、
「男がいい」は58.3%、「女がいい」は41.7%。
高校生の頃から「女性は損」という考え方が染みついているとすれば
残念な結果である。

これに対し、
女性代表として私が以下のようにコメント
(男性代表は京都大学大学院の伊藤公雄教授)。

ちなみに進研ゼミといえば、
地方公立出身で塾ギライの私は
散々お世話になった記憶がある……。

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進研ゼミ高1My Vision:「生まれ変わるなら男?女?」

<質問1>現代の社会では、いまだに「男性優位」の風潮を感じる場面も多くあると思います。このことについてどのようなご意見をお持ちでしょうか? またそれはどんな場面でしょうか。

 「女性が強くなった」と巷では言われますが、現実はまだまだ男性優位の社会です。例えば、デートDV(交際相手からの暴力や精神的支配)の被害経験がある高校生は女子が33%で、男子より10%以上も多いことがわかりました(NPO法人「ウィメンズネット・こうべ」調べ、2011)。「女は男に従うもの」「愛があれば女を殴ってもいい」等の誤った思い込みが、若い男女の間にも浸透しているのです。

<質問2>これからの時代、女性が果たす役割や、活躍できる場はどのように変化していくと思われますか? 

 世の中の半分は女性なので、「同性のニーズ」を汲み取ることが出来る女性は重宝されます。東日本大震災では、避難所のリーダーが男性ばかりだったため、女性の必要とする物資が届かなかったという反省点がありました。今後は災害現場や、女性に役立つ情報を伝えるメディア、性犯罪被害の相談窓口など、同性のために活躍することを期待される場が広がっていくでしょう。

 <質問3>女性ならではの強みとはどのようなものだと思われますか?

 総理大臣は常に男性、政治家も9割は男性というこの国で、女性は「マイノリティ(社会的少数派)」と呼ばれる存在です。権力を持ちにくいからこそ、同様に弱い立場である障害者や高齢者、子どもの気持ちに寄り添えることが強みです。弱者へ配慮する眼差しは、「誰もが生きやすい社会」を作っていく上で非常に重要です。 

<質問4>男女差はなくなるべき、もしくは男女それぞれの強みを生かしていくべき、どちらのご意見をお持ちでしょうか。またそれを実現するために我々はどのような意識を持つべきだと思われますか?

 女だから、男だからという理由で、人生の選択肢が狭められてはいけません。「やりたいこと」をやれる機会は、男女同等に与えられるべきです。その機会をつかんだら、男女それぞれが自分の個性や才能を存分に生かしてほしいと思います。そのためには企業や保護者が意識を変えることが必要です。例えば就職活動では、女性の方が試験の成績が良いにも関わらず、「出産したら辞めるだろうから」と落とされるケースが目立ちます。出産後も仕事を続けられる環境を企業が整えなければ、女性たちは子どもを産む気がなくなり、少子化が進む恐れがあります。また保護者も、「女の幸せは結婚」「男は一家の大黒柱であるべき」等の偏った価値観を我が子に押し付けていないか、振り返ってみましょう。

 <質問5>「生まれ変わるなら男性派」の高校生に向けたアドバイスをいただければ幸いです

 「男性の方が生きていく上で有利」と思いがちですが、実は男性ならではの「生きづらさ」というものがあります。「男なら有名大学に進んで、大企業に入ってバリバリ稼ぐのが当然」と思われているだけに、そのルートから外れてしまった男性は「負け組」の烙印を押されがちなのです。周囲からのプレッシャーに耐えかねて家から出られなくなる男性も多く、「ひきこもり」の7割は男性が占めているのが実態です(東京都調べ、2008)。「男らしさ」にとらわれるのではなく、「自分らしく」生きるためにはどうすればいいかを考えてみましょう。 

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Photo 参考文献:『性情報リテラシー』


高校生にとってメディアは「性の教科書」です。

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2012年7月 6日 (金)

いじめ自殺 親のそれから(後編)

『いじめ自殺 親のそれから~8年かけて見えてきたこと』(後編)
(AERA 2007年3月5日号。肩書、年齢などは当時)
----------------------------------------------
前編

8年前の事件以来、和子さんは1日3時間ほどしか眠れない日が続く。夫の秀樹さん(56)は何もする気力がわかず、家にこもるように。息子の自殺に加え、後に裁判に踏み切ったことが、夫婦の気力と体力を完全に消耗させた。訴訟費用を工面するために、保険を解約して、借金もした。

「裁判を起こすってものすごく勇気がいることなんよ。時間も気力もお金もかかるし、地域の好奇の目にさらされるからね」

 文科省が、問題点を開示する方向でマニュアルを作れば、裁判を起こさなくても済むのでは……。
 遺族が最も望むのは、子どもが死を選ばねばならなかった真相の究明だ。しかし、学校や教育委員会が調査をするのでは、どこまで真実に迫れるのか疑わしい。


【筑前町は第三者が調査】

 その点、筑前町では一歩前進があった。町の教育委員会は11月に、学者や、児童相談所長、保護司ら、7人からなる第三者の調査委員会をつくった。遺族の参加はかなわなかったが、この委員会が、校長、遺族から話を聞き、教職員と生徒にはアンケートを実施して、12月に報告を発表した。その報告は、今後はすぐにこうした調査委員会を立ち上げるよう、提言している。

 同級生だった加害少年たちのことも考えて思い悩む美加さんに、和子さんは「いい人になろうとせんでいいんよ」と話した。

 一方で和子さんは自分の体験から、法廷で争った結果として加害者側から責任と謝罪を引き出しても、何も残るものはないと思う。遺族側と加害者側が、直説対話できる場もあれば、と思う。

「自分がやったことの重大さを理解させ、親にも、子どもの心がなぜそんな風に育ったのか自省する機会にしてもらわんと」

 子どもの「心」を育てないと、いじめの抜本的解決にはならない。それがいまの和子さんの結論だ。洵作さんの時も啓祐さんの時も、いじめた側は自分の行為を「冗談だった」と語った。自分がされたらどうなるかという想像力が、子どもの心に育っていないのだ。

「文科省は、教育にもっとお金をかけてほしい。現場の教師の声を吸い上げてほしい。そして何より、『相手を思いやる心』の育成に取り組まんといかん」

 洵作さんは柔道、啓祐さんは空手にたけていた。しかしその力を、人を傷つけるために使うことはなかった。

「相手の痛みがわかるから、いじめの標的にされても、けんかには応じん。弱いんじゃなくて、優しかったよ。優しい子が死なんといかん社会はおかしい」


【子どもの心を育てたい】

 昨年11月に開かれた、参院文教科学委員会。伊吹文明文科相はこう言った。

「いじめられる側にも、その子どもの性格などに起因するものが全くないとは言えない」

それなら子どもはいくらでも理由付けをする。あぜんとした。

「人はみな違って当たり前やき。それをいじめの口実にさせるんじゃなく、多様性を認め合うことを教える。それが心の教育と思うよ」

 この8年間、息子には「守ってあげられなくてごめんね」と、謝ってばかりいた。いまは、遺影にこう語りかける。

「洵くん、子どもたちの心を育てないかんよね。あんたのような犠牲者は、二度と出したらいかん」

 

取材・文 渡辺真由子

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いじめ自殺 親のそれから(前編)

大津市いじめ自殺問題の発生を受け、
私が以前アエラに寄稿したルポを緊急公開する。
あなたがこの問題を考える参考となれば幸いである。
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『いじめ自殺 親のそれから~8年かけて見えてきたこと』(前編)
出席停止に教員免許更新制。
福岡県筑前町の事件などをきっかけに、「対策」が積み上がる。
だが、いじめと向き合い続けた母が見た学校は……。
(AERA 2007年3月5日号。肩書、年齢などは当時)
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「優しくするということを、ぼくは下の人たちにしてあげて、その下の人たちがその下の人たちにしてくれたら、みんな幸せになると思います」

 2月10日にNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」などが東京で開いた、いじめを考えるシンポジウム。福岡県筑前(ちくぜん)町から参加した森美加(もり・みか)さん(36)は、昨年10月にいじめを苦に自殺した町立中学2年の長男、啓祐(けいすけ)さん(当時13歳)が小学校の卒業文集に残した言葉を紹介した。

 ジェントルハートは、いじめなどで子どもを亡くした親たちの会。子どもたちが遺したメッセージを伝えることで、優しさを広げていじめをなくそうと活動している。美加さんはこのシンポで初めて息子の名前と顔を公開して、話した。

 シンポの3日前、美加さんは自宅から車で40分ほど離れた福岡県飯塚市に住む、古賀和子(こが・かずこ)さん(56)宅を訪ねた。手には、柔らかなピンクのチューリップが25本。和子さんの長男、洵作(しゅんさく)さんは、生きていれば1月に25歳の誕生日を迎えるはずだった。


【もう見たくない】

 1998年のクリスマス。飯塚市の私立高校2年生だった洵作さん(当時16歳)は、同級生6人から「パーティーに女を連れて来られなければ60万円を払え」と執拗な脅しを受けて、自らの命を絶った。6人とその親は責任を認めず、学校は全校生徒に実施したいじめについてのアンケート原文を、遺族に見せる前に焼却した。

 遺族は加害少年側と学校側を相手に、裁判に踏み切る。両者が責任を認めて遺族に謝罪し、和解したのは、2000年のことだ。
 いま和子さんのもとに、美加さんが足しげく通う。
「色々と相談にのってもらって、心強い。私たちが頑張れるのは、8年前に和子さんたちが闘ってくれたおかげ」

 和子さんは初め、美加さんに会うつもりはなかった。息子の死から8年。まだ、いじめ自殺は繰り返されるのか。ニュースに接すると、激しい怒りがこみあげて、「いじめ」の「い」の字すら見たくなくなる。いったいどこが、この責任をとるのか。
 しかし、啓祐さんの自殺から2カ月後、ジェントルハートのメンバーを通じて偶然に、和子さんは美加さんに会った。

「変わらない」元凶がどこにあるのか、この8年間で、和子さんには少しずつ見えてきた。
「対症療法に終始して、子どもの苦しみに正面から向き合わん文部科学省のツケよ」
 そう言い切る。

 「おかしい」と最初に感じたのは、洵作さんの死から2年が過ぎた頃だった。当時の文部省による公立学校児童・生徒の自殺者数統計を見ると、いじめが原因とされる自殺の件数が、ゼロ。一方、原因が「その他」は106件で、全体の6割以上を占める。

「その他」の中身を明らかにして欲しいと、和子さんは02年、要望書を手に上京した。いきなり文部省を訪ねると、暗い廊下で対応した職員は和子さんの話を聞くだけ。要望書も受け取らなかった。3年通ったが、いつもたらい回しにされて終わった。


【誰がための175項目】

文科省が今年1月になって、99年度以降7年間ゼロとしていたいじめ自殺の数を修正したが、
「学校の先生だって、統計がおかしいことは知っとったはず。でも、指摘できんかったんやないか」

 現場の教師は、声を上げにくくなっている。それがわかり始めたのは、事件後やめていた保険外交員の仕事を、06年4月に再開してからだ。顧客は、地元の学校の教師たち。彼らがいじめ対策でがんじがらめにされている姿を、目の当たりにした。

 福岡県教育委員会から配られた「いじめ早期発見のチェック・リスト」は、児童・生徒と教師自らを見直すポイントが、合わせて8ページ、175項目にも及ぶ。
 さらに文科省は昨年10月、学校と教育委員会に対し、44項目にわたるチェックポイントを通知した。

「たださえ忙しいのに、とてもこんなに一人づつチェックできん」
 ある教師は和子さんに訴える。だが、不適格教員の烙印を押されかねないので、不満は言えない。
 現に福岡県教委の詳細なリストは、筑前町の啓祐さんの中学では、使われていなかった。

「『これだけ配慮しました』という既成事実を作りたいだけ。このやり方では現場は萎縮するばかりよ」

 政府の教育再生会議が1月の第一次報告に盛り込んだ教員免許の更新制についても、教師が上司の顔色をうかがって、ますますいじめを報告しなくなると危惧する。

続く


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2012年6月15日 (金)

アルコール・ハラスメントを取材して

福岡市の職員に出された1ヵ月の「禁酒令」が、間もなく終了を迎える。私はかつて、福岡の飲酒事情の一環としてアルコール・ハラスメント、いわゆるアルハラを取材した。今回は「性情報リテラシー教育」の連載をお休みし、こちらを御参考までに公開しよう(『総合ジャーナリズム研究』掲載)。

---------------------

夢と希望に溢れて入った新しい学校(会社)で、さあこれから!という時に死亡。原因は酒の飲みすぎ。しかも自分から進んで飲んだのではなく、飲まされたとくれば、「こんな死なせ方をするために育てたんじゃない」と、親は地団駄を踏むだろう。

アルハラを取材した。「アルハラ」、正しくはアルコールハラスメント。上司と部下、先輩と後輩などの上下関係、もしくは仕事の取引上の力関係などを利用して、相手に無理やり酒を飲ませようとする行為のことだ。毎年春になると、飲み会などでイッキ飲みを強要されて急性アルコール中毒になり、死亡する人が後を絶たない。

「イッキ飲み防止連絡協議会」によると、アルハラは東京や大阪などの大都市よりも地方で起こりやすいという。なぜなら地方には昔ながらの伝統やしきたりが根強く残っていて、「目上の人には絶対服従」とか、「酒を飲めなきゃ男じゃない」みたいな考え方が、21世紀の現代まで脈々と受け継がれているためだそうだ。

この分析は私の興味を引いた。ならば九州の福岡を取材してみてはどうだろう。九州男児の飲み方といえば、皆であぐらで輪になって、横には焼酎の一升瓶。土鍋のような杯になみなみと注いだそれを回し飲みして、男同士の結束を確認する・・・なんてイメージがアナタにも浮かんできませんか?くるでしょ。アルハラが起きやすいどころか、むしろそんなのは当たり前過ぎて、いいとか悪いとかいうレベルを超越してしまっていそうではないか。

そんなわけで取材に取りかかったのだが、手始めに焼き鳥屋でサラリーマンらに話を聞いてみて驚いた。グループで一見楽しそうに飲んでいる人でも、「場を盛り上げるため」とか、「断ると失礼」といった気遣いから、『飲みたくなくても仕方なくイッキしたりする』といった声がほとんどだったからだ。ああ、やっぱり九州男児といえども嫌なものはイヤなんだなあ。

「飲めなければ断ればいいじゃないか」と涼しい顔で言う人も世間にはいる。断れないような弱い奴が悪いんだ、と。しかし、それは強者の論理だ。酒を断ろうとする人に対して「付き合いが悪い」とか、「俺の酒が飲めないのか」と息巻く人々がそこかしこに存在するのが現実である。そのことで仕事上の人間関係にヒビが入ったりする。下手にリスクを背負ってまで断るというのは、弱い立場の者にとっては至難の業なのだ。

そもそも、飲ませる側というのは面白がってやっているだけなのだから、そんな人たちのために吐いたりブッ倒れなきゃならないというのはおかしな話である。責められるべきは断れない、弱い人ではない。飲ませる側が節度とモラルをわきまえてさえいれば、こんな問題は起こらないのだから。

ところで、アルハラを語るに欠かせないのが“お酌”の問題である。瓶ビールや日本酒を飲む時に必ずついてまわるこのお酌がクセ者で、まだコップに半分残っているのに「ほらもっと」なんて注ぎ足されたり、相手に注ぐタイミングを気にしなければならなかったりと、まさにアルハラを生み出す温床といえる制度だろう。みんなお酌制度に疑問を感じないのだろうか?と思っていたらありました、「手酌の会」が。お酒は手酌でマイペースに、という人たちの集まりで、福岡を本拠に組織は全国に広がっているらしい。覗いてみると、仕事上での注しつ注されつの飲み方に辟易した会社員らで溢れ返っていた。

そういえば以前オーストラリアに住んだ時、グループで飲み屋に行くと、各自の手元にグラスとビールの小ビンが置かれたものだ。自分の酒は自分で注ぐのが当然、という雰囲気だった。お酌が日本独特の制度かどうかは知らないが、生ビールを好む日本人が理由の一つに「お酌しなくてもいいから」を挙げていると聞くと、少々切なくなる。

アルハラの怖いところは、自分も気付かないうちに加害者になっている可能性がある点だ。なにせアルハラと呼ばれる行為には、これまで常識と思われていたものが多い。だが、心配するには及ばない。「イッキ飲み防止連絡協議会」が作成した、アルハラ度をチェックするリストがあるのだ。シラフの時にこっそり試してみるのをオススメする。

《アルハラ度チェックリスト》
①飲み会を盛り上げるためにイッキは必要
②相手にアルコールを勧めるのは礼儀だ
③訓練すればアルコールに強くなる
④みんなで酔っ払ってこそ連帯感が生まれる
⑤相手の本音を聞くにはまず飲ませるのが得策
⑥飲めない男性はなんだか男らしくない
⑦乾杯は必ずアルコールですべきだ
⑧酔い潰しても吐かせるか寝かせておけば大丈夫だ
⑨女性がお酌するのは当たり前だ
⑩未成年でも少しなら飲ませても構わない
⑪「あの時は酔っていたから」と言い訳することが多い

 以上、一つでも思い当たればアルハラ加害者になりうるそうな。

ちなみにこんなこと言ってる私はお酒が嫌いなのかというと、全く逆なんですねこれが。
むしろ酒を愛する者の1人として、お酒は楽しく味わって飲んで欲しいと切に願っているのである。

(総合ジャーナリズム研究、2001)

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2010年9月11日 (土)

新著『プロフ中毒』発売へ

お待たせ致しました!
新著が発売になります。

主婦の友社がこの秋に
新書を創刊し、
そのラインナップ第2弾として登場する。
タイトルは
『プロフ中毒~子どもの秘密がなくなる日』。

いまやプロフは女子高生の7割に利用され、
子どもたちの生活に深く浸透している。
だが、ほとんどの親は
我が子が見ている世界を知らない。

なぜ、プロフにハマるのか?
どのように使っているのか?
どんな人たちと知り合っているのか?
そこには新手のトラブルも……
といった実態を
私が女子中高生に取材し、ルポしている。

さらに、海外の子どものSNS利用事情や、
プロフに親が取るべき対応、
ネット・リテラシー教育のあり方についても
提言するものだ。

発売は11月。
楽しみに待っててね~(ドラえもん風)

この新書シリーズについては、
こちら等でも報じられている。

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