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2014年9月12日 (金)

緒方貞子氏と国連(と私)

 緒方貞子―難民支援の現場から (東野真著、集英社新書)を読んだ。

国連難民高等弁務官を務めた緒方氏は、私が密かに憧れてきた女性である。

といってもこの本を読んでからは、ぼんやりとした憧れが
はっきりとした「尊敬」に変わった。

緒方氏はデスクに座って指示を飛ばすだけにとどまらず、
自ら紛争の現場へ出かけ、積極的に視察をして回っていた。
その現場は、いつ銃弾が飛んできてもおかしくはない
非常に危険な地域なのである。
人道援助に対する確固とした信念がなければ、こんなことは出来ない。

本書は、様々な大惨事に対処する時々に
緒方氏がどのように悩み、どう決断を下したかを
本人へのインタビューを中心にまとめている。
国際的な人道支援のトップに立つ人間に求められる覚悟が
生々しく伝わってくる。

実は私も、
メディア表現における女性や青少年の人権について
オーストラリア、カナダ、米国で学びを重ねてきた者として、
いずれは国連でこの問題を議論してみたいと考えている。

日本と海外はお互いの文化の「イイトコ取り」をし、
「尊厳が重んじられる社会」の構築へ向けて高め合っていけばいい、
というのが私の信条だ。

メディア表現をめぐる人権感覚については
他国の方が先進的である場合もある。
そうした感覚をいかに日本に取り込めるか、
日本独自の問題点とは何か、といった点を国際社会で論じ、
この国のメディア政策に反映させていきたい。

その一助として、
「メディアの性表現に関する国際法と人権」をテーマに、
近く論文を公表する予定だ。

また、
性暴力表現の影響に関する科学的データについては、
こちらの論文にまとめている

Photo 来年は、
米国で開催されるメディア・リテラシーの研究大会で
拙著『性情報リテラシー』に基づき、
日本メディアが発信する性情報の問題点や
リテラシー教育のあり方について
報告する予定である。

緒方貞子氏のように……と言うにはまだまだだが、
せめてその信念の強さにならい、
一歩一歩進んでいきたいとの思いを新たにしたのでした。


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