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2013年10月 4日 (金)

「ネット依存」克服への道(新聞寄稿)

13915_2  新幹線で食べる駅弁をパチリ。旅先の風景をパチリ。最近、写真を撮影する機会が増えてきた。インターネット上のSNS(交流サイト)である「フェイスブック」の自分のページに投稿するためだ。

 以前の私は、旅行だろうとイベントだろうと、基本的に写真は撮らないことを自分の美学としていた。カメラを持ち歩いたり、撮影した写真を整理したりするのは面倒くさい。それに目の前で繰り広げられる光景は、目や耳や皮膚などの5感をフルに使って体験し尽くしたい。本当に印象的な場面ならば、写真に保存しなくても瞳に焼きつくはず。「まぶたでシャッターを切る」などとうそぶいていたものだ。

 ところが、フェイスブックを始めてからというもの、ちょっとしたものをすぐに撮影する習慣が出来てしまった。カメラ機能は常に持ち歩くスマートフォンに備えられているし、デジタル化された写真は整理の場所もとらない。何より、フェイスブックに写真を投稿すれば、交流相手たちから「いいね!」サインやコメントがもらえる。

 投稿した写真にどんな反応が寄せられたかが気になって、一日中そわそわする。もっと大きな反応が欲しくて、撮影用にインパクトの強いネタを探す……。いつの間にか自分が、こうした行動をとっていることに気づく。エスカレートすれば、「ネット依存」になりかねない。

 ネット依存とは、ネットの使い過ぎで健康や暮らしに影響が出る状態を指す。これがいまや、子どもの間にも見られるようになった。厚生労働省研究班は昨年10月から今年3月にかけ、全国の中高生を対象に、ネット依存に関する調査を初めて実施。その結果、「ネットに夢中になっていると感じる」「使用をやめようとした時、落ち込みやイライラを感じる」などの8項目中5項目以上に該当し、ネット依存が強く疑われる「病的な使用」と認定されたのは8.1%、推計51万8千人に上ることが明らかになったのである。

 私はかつて女子中高生のSNS利用を取材し、ネット世界に没頭する実態を目の当たりにしてきた。「携帯命なんです」「携帯は私の分身」と平然と言う少女たち。家に携帯を忘れて外出するとイライラし、取りに帰らずにはいられない。SNS上で仲良しグループに悪口を言われていないか不安になり、1日に何度も携帯でチェックして勉強が手につかない。

 コミュニケーションの質も変化しつつある。メールやSNSのチャットでは、相手から届いたメッセージに即座に返信することが、子ども同士の暗黙の了解となっている。そこに、思考を深めるひまはない。自分から発信するときも、「思いついたらすぐネットに書き込む。自分にため込めなくなっちゃうんです」と、ある女子中学生。

 近頃は短文すら省略し、絵文字だけでやり取りする傾向も生じている。SNSには様々な表情をしたキャラクターのイラストが用意されており、自分の気持ちを代弁させられるのだ。その分、子どもたちは送られてくる絵文字に敏感になる。「あの絵文字はムカつく」「この絵文字は傷つく」など、相手の意図を深読みして神経をすり減らす。自分が絵文字を送るときも、「とりあえず冷たく見られないよう工夫します」。ネット漬けの子どものコミュニケーションは「感覚的」になる一方だ。

 ネット依存へはどんな対処法があるのか。医療関係者が勧めるのが、期間限定でネットから自分を遠ざける「ネット断食」だ。実は私も、週末は「パソコンを使わない」「SNSは見ない」ことを自分に課している。時間と気持ちに余裕ができ、本を読むことに集中したり、電車移動中に外の景色を楽しんだりすることも可能になった。

 「ネットがないとさびしい。何もやることないから」「SNSはひまつぶし」と語る少女は多い。「ネットよりも楽しいこと」を見つけるのが、結局はネット依存解消の根本的な道となろう。

SNS利用により、嫌な体験も「投稿用のネタ」と前向きに受け止められる効能もある。のめり込みを自戒しつつ適度な距離でネットと付き合いたい。

(熊本日日新聞「論壇」2013.9.15)

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