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2012年6月29日 (金)

『性情報リテラシー』7.家へ来るのは「暗黙の了解」?

メッセージ 
 >前回

(新聞連載) 

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マサユキ(関連情報)は大学1年のとき、合コンで出会った女の子の家に招かれたことがある。「この子、Hしたいのかな」。期待がふくらんだ。

「中高生の頃見ていたテレビで、『家で2人きりになったら、やらなきゃいけないっしょ』と、お笑いタレントたちがよく発言していたんですよ。そんなもんかな、と思ってました」

 彼女の部屋へあがると、早速とばかりに迫ったマサユキ。ところが、強く拒否をされた。「これでやったら犯罪になる」と思って止めた。

「何なんだこの女、ふざけんなと。お前も家に呼ぶなよ、と思いました。やっぱり頭にあるんですよね、女の子が家に呼んでくれたら必ずいけるっていう情報が」

「家へ呼ぶ」手法は、女性をHへ持ち込む王道として、メディアの恋愛マニュアルに君臨する。数々の男性誌には、「『部屋で映画を見よう』と誘え」「ベッドに座らせて一気に押し倒せ」「家に誘って何もないと、女のコもしらけちゃう」といった『指導』が乱れ飛ぶ。  

 こうしたマニュアルは、「女性に嘘をつく」ことを推奨する。建前は「映画鑑賞」や「飲み直し」との名目で誘おう。でも家に来る女性にはその気があるに違いないから、押し倒しちゃって大丈夫……。

 だが現実には、前回紹介したように、こうした「口実」を無邪気に信用する女性も多いのだ。逃げにくい密室の中で彼女たちは、望まない性行為の被害者となる。

なぜメディアの作り手は、この種のメッセージを発信するのだろうか。雑誌やテレビ番組の内容を決める立場には、40歳前後の男性が少なくない。私が複数のこうした人々に聞いたところ、「部屋に来たらOKなんて、当たり前でしょ」と口を揃える。恋愛マニュアルが花盛りのバブル期に、青春をおくった世代だ。彼らに刷り込まれた当時の異性観が、再生産されている。

「その考え方は古いと思います」と言うのはキョウコ(関連情報 )。男友達が多く、彼らの家へ遊びに行っては、2人でゲームなどをする。

「男友達というのはあくまで友達で、恋愛やHの対象ではないので。世間に誤解がまかり通っているのは、迷惑ですね」

もちろんキョウコも、ドラマや漫画を通し「家へ行く女性はHもOK」というパターンは頭の中にある。だが、「メディアが勝手に描く女性像と、自分とは別」と思うのだ。

マサユキはいま、友人たちに「家へ来たからって100%H出来るわけでもないよ」と教えるようにしている。

続く

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『性情報リテラシー』が本になりました!

Photo ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
リテラシー教育はどうあるべきか?

 ⇒メッセージ&目次 


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