お問い合わせ

アーカイブス

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 『性情報リテラシー』4.人数は多いほどいい? | トップページ | 『性情報リテラシー』5.露出服の意味 »

2012年6月15日 (金)

アルコール・ハラスメントを取材して

福岡市の職員に出された1ヵ月の「禁酒令」が、間もなく終了を迎える。私はかつて、福岡の飲酒事情の一環としてアルコール・ハラスメント、いわゆるアルハラを取材した。今回は「性情報リテラシー教育」の連載をお休みし、こちらを御参考までに公開しよう(『総合ジャーナリズム研究』掲載)。

---------------------

夢と希望に溢れて入った新しい学校(会社)で、さあこれから!という時に死亡。原因は酒の飲みすぎ。しかも自分から進んで飲んだのではなく、飲まされたとくれば、「こんな死なせ方をするために育てたんじゃない」と、親は地団駄を踏むだろう。

アルハラを取材した。「アルハラ」、正しくはアルコールハラスメント。上司と部下、先輩と後輩などの上下関係、もしくは仕事の取引上の力関係などを利用して、相手に無理やり酒を飲ませようとする行為のことだ。毎年春になると、飲み会などでイッキ飲みを強要されて急性アルコール中毒になり、死亡する人が後を絶たない。

「イッキ飲み防止連絡協議会」によると、アルハラは東京や大阪などの大都市よりも地方で起こりやすいという。なぜなら地方には昔ながらの伝統やしきたりが根強く残っていて、「目上の人には絶対服従」とか、「酒を飲めなきゃ男じゃない」みたいな考え方が、21世紀の現代まで脈々と受け継がれているためだそうだ。

この分析は私の興味を引いた。ならば九州の福岡を取材してみてはどうだろう。九州男児の飲み方といえば、皆であぐらで輪になって、横には焼酎の一升瓶。土鍋のような杯になみなみと注いだそれを回し飲みして、男同士の結束を確認する・・・なんてイメージがアナタにも浮かんできませんか?くるでしょ。アルハラが起きやすいどころか、むしろそんなのは当たり前過ぎて、いいとか悪いとかいうレベルを超越してしまっていそうではないか。

そんなわけで取材に取りかかったのだが、手始めに焼き鳥屋でサラリーマンらに話を聞いてみて驚いた。グループで一見楽しそうに飲んでいる人でも、「場を盛り上げるため」とか、「断ると失礼」といった気遣いから、『飲みたくなくても仕方なくイッキしたりする』といった声がほとんどだったからだ。ああ、やっぱり九州男児といえども嫌なものはイヤなんだなあ。

「飲めなければ断ればいいじゃないか」と涼しい顔で言う人も世間にはいる。断れないような弱い奴が悪いんだ、と。しかし、それは強者の論理だ。酒を断ろうとする人に対して「付き合いが悪い」とか、「俺の酒が飲めないのか」と息巻く人々がそこかしこに存在するのが現実である。そのことで仕事上の人間関係にヒビが入ったりする。下手にリスクを背負ってまで断るというのは、弱い立場の者にとっては至難の業なのだ。

そもそも、飲ませる側というのは面白がってやっているだけなのだから、そんな人たちのために吐いたりブッ倒れなきゃならないというのはおかしな話である。責められるべきは断れない、弱い人ではない。飲ませる側が節度とモラルをわきまえてさえいれば、こんな問題は起こらないのだから。

ところで、アルハラを語るに欠かせないのが“お酌”の問題である。瓶ビールや日本酒を飲む時に必ずついてまわるこのお酌がクセ者で、まだコップに半分残っているのに「ほらもっと」なんて注ぎ足されたり、相手に注ぐタイミングを気にしなければならなかったりと、まさにアルハラを生み出す温床といえる制度だろう。みんなお酌制度に疑問を感じないのだろうか?と思っていたらありました、「手酌の会」が。お酒は手酌でマイペースに、という人たちの集まりで、福岡を本拠に組織は全国に広がっているらしい。覗いてみると、仕事上での注しつ注されつの飲み方に辟易した会社員らで溢れ返っていた。

そういえば以前オーストラリアに住んだ時、グループで飲み屋に行くと、各自の手元にグラスとビールの小ビンが置かれたものだ。自分の酒は自分で注ぐのが当然、という雰囲気だった。お酌が日本独特の制度かどうかは知らないが、生ビールを好む日本人が理由の一つに「お酌しなくてもいいから」を挙げていると聞くと、少々切なくなる。

アルハラの怖いところは、自分も気付かないうちに加害者になっている可能性がある点だ。なにせアルハラと呼ばれる行為には、これまで常識と思われていたものが多い。だが、心配するには及ばない。「イッキ飲み防止連絡協議会」が作成した、アルハラ度をチェックするリストがあるのだ。シラフの時にこっそり試してみるのをオススメする。

《アルハラ度チェックリスト》
①飲み会を盛り上げるためにイッキは必要
②相手にアルコールを勧めるのは礼儀だ
③訓練すればアルコールに強くなる
④みんなで酔っ払ってこそ連帯感が生まれる
⑤相手の本音を聞くにはまず飲ませるのが得策
⑥飲めない男性はなんだか男らしくない
⑦乾杯は必ずアルコールですべきだ
⑧酔い潰しても吐かせるか寝かせておけば大丈夫だ
⑨女性がお酌するのは当たり前だ
⑩未成年でも少しなら飲ませても構わない
⑪「あの時は酔っていたから」と言い訳することが多い

 以上、一つでも思い当たればアルハラ加害者になりうるそうな。

ちなみにこんなこと言ってる私はお酒が嫌いなのかというと、全く逆なんですねこれが。
むしろ酒を愛する者の1人として、お酒は楽しく味わって飲んで欲しいと切に願っているのである。

(総合ジャーナリズム研究、2001)

-------------------------------
diamond渡辺真由子の最新刊! 『性情報リテラシー』

Photo ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
リテラシー教育はどうあるべきか?

 ⇒メッセージ&目次 

このエントリーをはてなブックマークに追加

mixi(お気に入り登録)

spadeブログの最新記事をメールでお届け

---------------------------------------------------------------------------

« 『性情報リテラシー』4.人数は多いほどいい? | トップページ | 『性情報リテラシー』5.露出服の意味 »

執筆活動」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1147830/45668724

この記事へのトラックバック一覧です: アルコール・ハラスメントを取材して:

« 『性情報リテラシー』4.人数は多いほどいい? | トップページ | 『性情報リテラシー』5.露出服の意味 »

公式ホームページ

  • Photo

2015~新ブログは下記へ↓

  • Photo_4

メールマガジン登録

今日のつぶやき

メールマガジン

  • 『貪欲に生きる!技術』 テレビ局退職、留学、独立…私は人生の転機にどう備え、どのように決断してきたのか? 「人生変えたい」と願うあなたへ! Photo

性情報と子ども

  • 『現場レポート』 性的有害情報が子どもの性行動・性意識に与える影響とは? 対策としての、新たな「リテラシー教育」とは?

Subscribe購読

ブックマーク

応援多謝! ↓

このサイトについて