『性情報リテラシー』4.人数は多いほどいい?
(新聞連載)
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「きょう会いたい」。マサユキ(関連情報)の携帯にメールが届く。合コンで知り合ったばかりの女の子からだ。自宅に呼び、とりあえず迫ってみた。「え~」と相手は困惑した表情を見せたが、押し切る形で性交した。その日以来、連絡はない。
「最低人間だな自分は、と思いましたね。単発でやった後は毎回結局、自己嫌悪に陥るんです。何してるんだろ俺、こういう関係は良くないな、と」
マサユキは千葉から上京し、有名私立大学に入った。東京育ちの同級生たちは遊び慣れていて、話題は「いかに合コンでお持ち帰りしたか」が中心。女性経験が少なかったマサユキの目に、彼らはまぶしかった。大学生になって読み始めたファッション誌にも、ナンパ特集が花盛り。次々と女性を口説く男性がヒーロー扱いされていた。
「わー、チャラい人すげえ、と思って。そういう人になりたいって憧れがありました。だから自分ではそこまで単発を望んでいるわけではないのに頑張って、結果が欲しいがためにした、ってとこがありますね」
「Hは色々な人と試してみたいんです」
明るくこの言葉を発したのが、目の前で微笑む女性とはにわかに信じられなかった。アユミ(21歳)は目がパッチリと大きく、髪型はつやのあるボブ。ほっそりとした体つきで、肌は抜けるように白く、お人形さんのようなルックスだ。東京育ちで中学校から難関私立大学の付属に通い、現在は文学部の4年生。大手出版社から内定を取得済みだが、「広告代理店も捨て難いんですよね」と就職活動を続けている。
アユミは高2で初体験をしてから、一気に奔放になった。通っていたのは、難関私立大学の付属女子高校。「エスカレーター式だから授業が忙しくなくて、すごいヒマなんですよ。みんな、とても遊んでました」
男子と性交に持ち込むにあたってアユミたちが参考にしたのは、女子向けHow To本だ。「とにかく彼を褒めよ」「食べ物を取り分けてあげる仕草に、男子はドキッとする」などと書かれている。
「合コンで実践したら、面白いように男の子が落ちるんですよ。みんなで『あ、すごい効果あるね』とか言って。もう高校の頃はそういう実験ばっかりしてました。知り合った男の子とメールして気が合えばHして。サイクル2週間みたいな感じで、みんなやってましたね」
性交を恋愛と切り離して考える女性は、日本ではまだ少数派かもしれない。だが、アユミには自分なりのポリシーがある。
「私は結婚はまだ全く考えていないし、それなら色んな人と試したほうが楽しいかなって。交際する彼氏は一人いればいいと思うから、それ以外の人とはHだけ出来れば、付き合う必要はないと割り切っています」
日本性教育協会(2005)の調べによれば、性交相手の数が6人を超える大学生は男子で19%、女子も9%いる。体験人数の多さを「男らしさ」に結び付けるメディアに男子が突き動かされる一方、女子はあっけらかんとしている。
<続く
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