『性情報リテラシー』2.女子の性の目覚め
(新聞連載)
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「家にお父さんが隠しているAVがあるんだ、見つけちゃった」。
キョウコ(仮名・21歳)が中学1年のとき、友人が興奮した様子で言ってきた。早速その子の家に女子だけで集まり、両親の外出中に鑑賞会を開いた。
「うわー気持ち悪いな、と思いました。写真と違って動きとかもすごくリアルで。でもその行為が何を意味するのか、ちゃんとはわかっていませんでした。みんなで『マジきもくない?』と言い合って、すぐ消しちゃった」
キョウコは、有名私立大学の文学部4年に在籍している。北関東の中規模都市の出身だ。長い髪を一つに束ねて、ナチュラルメイク。太目の眉が素朴な面影を残している。卒業後は金融関連の会社に就職する予定だ。
「育った地域は自然が多くて、小学生時代は性的なメディアに触れることもあまりなかったんですけど、中学校へ上がると激変しましたね」と振り返る。
日本性教育協会の調べ(2005)によれば、女子が性的関心を初めて持つのは平均12.99歳で、男子の12.27歳と大差はない。小学校高学年から始まる性教育に「寝た子を起こすのではないか」との議論は根強いが、子どもたちはとっくに目覚めている。
意図せず性的メディアを目にしてしまう子どもも多い。場所は他ならぬ「家庭」だ。父親が隠し持っていたポルノを見つけ、「ショックだった」「汚らわしいと思った」などの声が寄せられた。児童虐待防止法は、子どもにポルノを見せることを「性的虐待」と定めている。
女子が育つ過程で接する性的なメディアは、紙媒体中心の傾向がある。ファッション誌が「性」に関する特集を頻繁に組むためだ。「私の初体験談」「テクニック自慢」など、なかなかに赤裸々である。背伸びしたがる女子は小学校高学年から読み始め、耳年増になっていく。最近は、イラストが多用されたティーンズラブ小説や同人誌、ケータイ小説も、過激な性描写で人気を集める。こうしたメディアは18歳未満でも堂々と入手でき、表紙の絵柄が可愛らしいので親にばれにくい。
一方、映像系メディアへの接触率は極端に低い。AV視聴経験がある高校生女子は17%で、同男子の59%に比べ3分の1以下だ(日本性教育協会)。AVに興味がなくはないだろうが、女子には入手しづらいようである。
キョウコは女友達数人と、思い切ってレンタル店のAVコーナーに入ったことがある。
「でも1人では行きにくいです。あのコーナーって仕切りで閉鎖された空間だし、中が見えないから、もし男の人がいたらなんか嫌だなと。そもそも男性向けのAVは充実しているのに、女性向けはほとんどないじゃないですか。作ればいいの
に、と思いますね」
女性の性欲や性的好奇心はいまだ、男性のそれほどには社会的に認知も肯定もされていない。「女のくせにはしたない」という規範は残る。若者も、それを感じ取っている。
<続く
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・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
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