児童ポルノ規制の必要性とは
児童買春・ポルノ禁止法の改正案を、
民主党が今国会に提出することとなった。
漫画やアニメ、ゲーム等の創作物は
規制の対象外としている。
「表現の自由」への配慮に加え、
「性虐待の被害者が実在しないから問題ない」と
考えたとみられる。
だが、本当に問題ないのだろうか?
折しも私は、メディアの影響に関する世界の最新研究動向を
国内の学会で発表したばかりなので、
ご参考までに、ごく一部を紹介しよう。
メディアが与える主な影響の一つに
「観察学習効果」がある。
受け手はメディアで見た内容を模倣する、
というものだ。
メディアの暴力描写と、それを見た者の攻撃行動との
関連性を調べたアメリカの研究によれば、
映像でも漫画でも、それぞれ影響は生じた
(もちろん性虐待描写も、暴力の一種である)。
ゲームの場合も、
ユーザーをストーリーに参加させる
「相互作用性」により、
観察学習効果を強化させたり
ゲーム内容を現実と混同させやすくなったりするとされる。
しかも近年は
ネットの普及やCGの発達で、
より生身の人間に近いキャラクターを
創作することが可能になっており、
実写と創作物を厳密に区分することは難しい。
このため
児童ポルノに関する研究でも、
実写か創作物かにこだわるより、
その内容のメッセージ性
(「児童も性的対象にしちゃってOK」等)が
問題視されている。
被害が実際に発生してからでは遅い。
もし、本気で
「性虐待の起こりにくい社会」を目指すのであれば、
規制対象に創作物を含めることは
選択肢の一つとなるだろう。
なお、
児童ポルノ規制に関して
私がこれまでに
新聞等で述べた見解は、
メルマガ『週刊メディリテ!』のバックナンバーで
お読み頂ける。
ところで上の写真は、
先日訪れた韓国の済州島。
沖縄並みの美しい海で知られるが、
かつて「4.3事件」という大虐殺があった土地。
【参考文献】
『性情報リテラシー』
渡辺真由子著(Kindle版)
望まない妊娠、中絶、デートDV……
青少年の 「性的有害情報対策」としての
メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?
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